声優・梶 裕貴が始球式イップスを振り払うノーバン投球 『忘却バッテリー』で自身が演じる山田太郎との共通点を語る

  • 佐藤主祥●取材・文 text by Sato Kazuyoshi
  • 村上庄吾●撮影 photo by Murakami Shogo

 「幼い頃に家族と来たことがある西武球場(現・ベルーナドーム)に、声優として戻ってくることができて感慨深いです。思い出に残る1日になりました」

 5月11日にベルーナドームにて行なわれた埼玉西武ライオンズ対東北楽天ゴールデンイーグルスの試合前、アニメ『忘却バッテリー』×パ・リーグ6球団コラボイベントのセレモニアルピッチに登場した人気声優の梶 裕貴さん。自身の誕生日でもある背番号「0903」のユニホームに袖を通し、スタンドのファンへ丁寧に頭を下げて挨拶をした後、真っさらなマウンドに足を踏み入れた。


『忘却バッテリー』コラボ試合に登場した人気声優・梶 裕貴 photo by Murakami Shogo

【"始球式イップス"になりかけも"ノーバン投球"を披露】

 出身地は東京だが、幼少期から学生時代までは埼玉県坂戸市にある実家で過ごした梶さん。縁のある埼玉の地のマウンドに上がる喜びを噛み締めながら、躍動感あふれるフォームで投球。大きな弧を描いたボールは、右打席に入る西武の球団マスコット・レオの内角低めいっぱいに吸い込まれていった。

 キャッチャーミットからこぼれたため、思わず両手で「セーフ!?」のジェスチャーで観客を沸かせたシーンもあったが、判定はノーバウンドでのストライク。スタンドからは大きな拍手が送られた。

見事ノーバンでのストライク投球をみせた セレモニアルピッチ終了後には、「普通、プロの選手になって、ようやく上がることができる神聖な場所。そういった意味での緊張感やプレッシャーはありましたが、今日お越しくださった方が楽しんでくださればと思って、とにかく全力で投げさせてもらいました」とコメントを残した。

 これまでも、東京ドームやみずほPayPayドーム福岡など、多くの球場で始球式を務めてきたという梶さん。「5球投げて、その中でいいやつを使います!とかじゃないじゃないですか(笑)。一球勝負っていうのはやっぱり難しい。何回やらせていただいても慣れるものではなく、本当に"始球式イップス"になりそうでした」とこれまでの苦い記憶を語る。

 それでも今回、自身も"過去イチ"と認める見事なノーバン投球を披露。「自分の中では、本当にいい球が投げられたと思っています。今のところ次(の始球式)の予定はないので、気持ちの良い締めくくりじゃないですけど、この思い出で終われてよかったなと」

セレモニアルピッチ終了後、観客席からの拍手に応える梶さん

1 / 3

厳選ピックアップ

このページのトップに戻る