「株式投資で一番やってはいけないのは...」 投資教育を学ぶ高校野球部生の「人生を豊かにする分散」 (2ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【株式と債券は「逆相関」】

奥野「そうかもしれないね。でもコミュニケーションの資質が100%で、他の資質がゼロっていうことはなくて、実際は3つの資質のどれかが他の資質より強いという感じで、由紀さんの場合であれば、例えばこの3つの資質の自分のなかでの比率が20%対50%対30%くらいで、コミュニケーションの資質が強いということかな。

 面白いのは、この資質のバランスは10歳から13歳くらいまでに固まるんだって。もっと言うと、自分があまり得意としていないスキルを、努力に努力を重ねて高めようとしても、それはだいたいにおいてうまくいかない。だからこそ大事なことは、自分がどの資質が強いのかをよく理解し、その資質を使った仕事・職種を選ぶとうまくいくということかな。これは言わば「心の利き手」とも言える。右利きの人が左手で細かい作業を続けるのは難しいよね。

 会社という組織においても、情熱の持ち主、コミュニケーション能力の持ち主、得意なことに没入できる能力の持ち主が必要だとされる。だからいろいろな資質を持った人間を組み合わせることで、全体のバランスを整えることが、強い組織をつくるうえでとても大事なことなんだ」

鈴木「僕のスキルは......なんだろう。それはともかく、前回教えていただいた株式の分散以外に、どんな分散投資があるのかも教えてください」

奥野「そうそう。前回は株式投資における分散の話をしたのだけれども、それに加えて、異なる資産クラス(投資対象となる資産の種類、分類)に分散するというのも、分散投資のひとつなんだ。

 その際の要点は、前回も少し触れたけど、やはり値動きの方向が異なる資産クラスを組み合わせることにある。これを投資の専門用語だと『逆相関』なんて言ったりする。逆相関の代表的なところでは、やはり株式と債券の組み合わせだね。

 債券って、あまりなじみがないかもしれないんだけど、償還まで保有すると元本が戻ってきて、それまでの間は定期的に利子を受け取ることができるという有価証券なんだよ。つまり、株式に比べると安全性が高い。景気が悪化して株価が下がっている時などは、株式市場から債券市場にお金が流れて、債券の取引価格が上昇する傾向があるから、株式と債券を一緒に持っておくと、株価が下がったとしても、債券価格の値上がり分によって、株価の値下がりリスクをある程度、軽減することができるんだ」

鈴木「だったら、株式と債券に半分ずつ投資するのがいいってことかな」
由紀「株式と債券の最適な比率なんてあるんですか?」

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