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「デイトレーダーってカッコいい?」高校の野球部員がイメージする投資家の姿 (4ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

【大切なのは資産の「チーム編成」】

奥野「売り買いなんてしなくてもいい、というのが、僕の長期投資に対する考え方かな。投資で大事なのは、円でお金を増やすことではなくて、いつ、どんなリスクが生じたとしても、自分の財産を守れるようなチームを編成することなんだ。

 もし、円ベースで資産価値を大きくしようと考えると、ちょっと値上がりしたら売って利益を確定させることの繰り返しを、何度もすることになるでしょ。これはまさに短期投資の思考そのものなんだ。

 でも、いつ、どんなリスクが生じたとしても、自分の財産を守れるようなチームを編成するって考えれば、ドタバタ売ったり買ったりを繰り返さずにすむはずだよね。

 急な出費に備えて50万円は円で預金する。

 インフレになっても資産価値が目減りしないように100万円で日本企業の株を買う。

 円安になった時に円資産の価値が目減りするのを防ぐために、ドル建てで米国企業の株を買う。

 こんな感じで、自分の資産のチーム編成をしていくことで、ポートフォリオ(金融商品の組み合わせ)が出来上がる。僕らがやっている野球だって、チームのメンバーをドタバタ変えたら、試合にならないでしょ。それと同じで、お金のチームも選手を吟味して、活躍してくれそうな人が見つかったら起用し、成果が表れるまでじっと見守ることも必要なんだ。

 そもそも、一夜にして偉大になれる会社なんて、どこにもない。みんな10年、20年という長い期間をかけて、製品開発や組織づくりに取り組んだ結果として偉大な会社になっていくんだ。それを考えれば、売らなくてもいい会社を探し出して、その株式を持ち続けることが、長期投資の理想形と言ってもいいかもしれないね」

【profile】
奥野一成(おくの・かずしげ)
農林中金バリューインベストメンツ株式会社(NVIC) 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)。京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2014年から現職。バフェットの投資哲学に通ずる「長期厳選投資」を実践する日本では稀有なパイオニア。その投資哲学で高い運用実績を上げ続け、機関投資家向けファンドの運用総額は4000億を突破。更に多くの日本人を豊かにするために、機関投資家向けの巨大ファンドを「おおぶね」として個人にも開放している。著書に『教養としての投資』『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』『投資家の思考法』など。

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