日本一になった元京大アメフト部・水野監督の言葉「吉田山に登れ」は、「起業」の後押しにもなる

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

この記事に関連する写真を見る奥野一成のマネー&スポーツ講座(22)~起業のために必要なことは?

 集英高校の野球部顧問を務めながら、家庭科の授業で生徒たちに投資について教えている奥野一成先生から、経済に関するさまざまな話を聞いてきた3年生の野球部女子マネージャー・佐々木由紀と新入部員の野球小僧・鈴木一郎。前回は、高校生向けの起業プログラムが盛んに行なわれるなど、世の中をあげて起業を促すような流れとその背景についての話となった。

 ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブス......どこの世界の話かと思っていた「自分で会社を起こす」ことがちょっと身近になったような気がして、鈴木はそのことが頭の片隅から離れなくなっていた。

鈴木「会社を起こす、会社を起こす......。でもそこで何をやればいいんだろう。それが問題だ......」
由紀「何ぶつぶつ言ってるのよ」
鈴木「僕、起業して何をやろうかと思って」
由紀「普通、そっちが先でしょ。奥野先生も言っていたじゃない。ビジネスをして得られるお金というのは、『こうなったらいいな』とか『こういうものがあれば便利なのにな』という課題を解決したことに対する『ありがとう』なんだって」
鈴木「課題ね。僕の場合だったらまがりなりにも野球部員なんだから『甲子園に行けたらいいな』かな。それとテストの成績が悪かった時に母さんの怒りを鎮める薬は『あったら便利だろうな』」
由紀「そんなこと考えているヒマがあったら練習と勉強をすればいいじゃない」
鈴木「一般の公立高校の野球部で『キミも甲子園に行ける』というマニュアルがあったら買っちゃうだろうな」
由紀「誰でも行けたら、それはもう甲子園じゃないわ」

 奥野先生が会話に加わった。

奥野「甲子園に行きたいというのは、高校の野球部の生徒だったらみんな、一度は夢見ることだからね。現実が厳しいのはわかるけど、不可能ではないと思うんだ。実際にそういうことを成し遂げた人もいるよ。
 
 野球ではなくて、アメリカンフットボールの指導者なんだけど、京都大学を率いて大学王者に6回、社会人チームを含めた日本一にも4回なっている人がいる。実はこの水野彌一さんが言っていたことは、起業にもあてはまるところがあるので、紹介しよう」

鈴木「国立の京都大学でスポーツ日本一......そんことあり得るのかな」

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