プロ野球12球団の変遷が映し出す日本経済。起業家が育たないのはなぜか

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

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 前回は野球部顧問の奥野一成先生から、「部活の地域移行についてどう考えるか」という話を聞いた3年生の野球部女子マネージャー・佐々木由紀と、新入部員の野球小僧・鈴木一郎。その是非はともかく、社会の変化が中学生の生活にも大きな影響を与えることを知ったふたりだった。

 秋になり、ようやく涼しくなって練習にも力が入る野球部だが、プロ野球はシーズンを終えようとしている。練習が終わると、由紀と鈴木は奥野先生をまじえ、雑談に花を咲かせている。

由紀「いよいよ今年も日本シリーズが始まったわね」
鈴木「セ・リーグはヤクルト、パ・リーグはオリックスが優勝」
由紀「でも、日本のプロ野球のチーム名はだいたい企業の名前なんですね」
鈴木「広島は?」
奥野「広島は特定の親会社を持たない市民球団なんだ。ただし正式名称は広島東洋カープ。東洋というのは自動車メーカーのマツダの旧社名『東洋工業』に由来していて、今でもマツダとの関係は深い。あとで少し詳しく説明しよう」

 奥野先生は、授業では家庭科を担当している。家庭科の授業では今年から投資教育が行なわれるようになった。そして投資教育において、「企業」は大事なテーマのひとつとなる。

 現在の12球団は、セントラル・リーグがヤクルト、DeNA、阪神、巨人、広島、中日。パシフィック・リーグがオリックス、ソフトバンク、西武、楽天、ロッテ、日本ハム。

 ちなみに今のような2リーグ制になった直後の1951年は14球団で、
セ・リーグ 読売、大阪(阪神)、名古屋(中日)、松竹、国鉄、大洋、広島東洋
パ・リーグ 西鉄、南海、毎日、東映、大映、阪急、近鉄

 バブル経済のピークだった1990年は、
セ・リーグ 読売、阪神、中日、大洋、広島東洋、ヤクルト
パ・リーグ 西武、ダイエー、日本ハム、ロッテ、オリックス、近鉄

由紀「昔とは球団を経営する企業も結構入れ替わったようだけど、これって何を意味するのでしょうか?」

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