プロ野球12球団の変遷が映し出す日本経済。起業家が育たないのはなぜか (2ページ目)
企業がプロ野球球団を保有する理由
奥野「たまたまプロ野球チーム名の変遷を調べたのだけど、1951年に2リーグ制になって以来、まったく変わらないのは、セ・リーグだと読売、中日、阪神、広島東洋の4つ。パ・リーグは、全部変わっているんだね。
日本のプロ野球のチーム名には、ほぼ必ず、企業名が冠せられている。『どこに企業名が?』と思うのは、おそらく広島東洋カープだと思うけど、この「東洋」は東洋工業、現在の自動車メーカーのマツダのこと。
だから広島東洋カープにとってのマツダは、読売ジャイアンツや阪神タイガースのように球団の親会社的存在のように見えるのだけれども、実は違う。もちろんマツダは筆頭株主ではあるのだけれども、マツダの創業家である松田家全体が持っている比率のほうが高いんだ。マツダも広島東洋カープについては「持分法を適用していない非連結子会社」に位置づけていて、球団経営への積極的な関与はしていないことになっている。市民球団と言われる所以だね。
そして、それ以外の球団に関しては、親会社が存在するのだけれども、球団経営は、当然のことながらお金がかかる。だから、球団を持っている企業は、それを持つ明確な理由が必要になるんだ。
ちなみに、2リーグ制になったばかりの頃の球団名を見ると、鉄道会社が多いと思わないかい?
セ・パ両リーグを見ると、阪神(阪神電鉄)、国鉄(現在のJR)、西鉄(西鉄グループ)、南海(南海電鉄)、阪急(阪急電鉄)、近鉄(近畿日本鉄道)、東急(東急電鉄)というように、14球団中7球団が鉄道会社を親会社に運営されていたんだ。
さて、どうしてだろう?」
鈴木「知名度を上げるため」
由紀「うーん、利用客が増えるから?」
奥野「そうだね。ふたりとも一応、正解ということにしておこうかな。
プロ野球は、言うまでもなく娯楽のひとつだよね。大勢の人たちが観戦する娯楽に企業名を冠しておけば、当然のことながら広告効果を得ることができる。知名度も上がる」
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