どの作品を知っている? スポーツ映画のおすすめ5選 (3ページ目)

  • 折田千鶴子●構成 text by Orita Chizuko

Netflix映画「フォックスキャッチャー事件の裏側」独占配信中Netflix映画「フォックスキャッチャー事件の裏側」独占配信中『フォックスキャッチャー事件の裏側』(2016)

 これは、簡単にまとめると"頭のおかしいパトロンについたら大変な目に遭った"という実話。スポーツ界においては、切っても切れないのがパトロンの存在。特に個人競技はお金がかかるから、どうしようもない。

 ベネット・ミラー監督の劇映画『フォックスキャッチャー』(2014)で描かれた実際の事件の裏側に迫るドキュメンタリー。ロサンゼルス五輪のレスリングで金メダリストのシュルツ兄弟がまずかったのは、ただ"自分がレスリング選手になりたかった頭のおかしい大富豪ジョン・デュポンがパトロンについてしまった"こと。レスリングファンに、お金も出す、練習場も作る、と言われたら飛びつきたいのはわかるけど、それが悲劇のはじまり。最後には兄のデイブ・シュルツがデュポンに射殺されてしまう。

 その物語は劇映画のほうで遺憾なく楽しんで欲しいけれど、その裏側を描いているのが、このドキュメンタリー。

 自分の所有する土地にレスリングの練習施設を作り、選手たちとともに生活するなど、全てを提供していた大富豪のデュポン。そして、もう一人の重要人物、コーチである兄・デイブとの関係――。2人の蜜月がどうだったか、周辺にいた人々の証言で回想劇のように構成されているんだけれど、よくわかるのは、デュポンがいかに地域を巻き込んでいたか、ということ。

 彼はお屋敷がある田舎町にすごいお金を落としていて、地元警察と癒着していたり、自分も自警団みたいなのをやっていたり。買収でデュポンがレスリングのシニア大会で優勝するなんてことも。お屋敷の門の先で行なわれていたことは、誰も見たこともないし、知らなかったという、すごく気持ち悪い話。あの門を入ったら最後、明らかにサイコパスな彼の、抜けられない蟻地獄に落とされた感じ。

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