上坂すみれが主演アニメを通じて体感。スポーツクライミングの奥深さ (2ページ目)

  • 小山田裕哉●取材・文 text by Yuya Oyamada
  • 鈴木大喜●撮影 photo by Daiki Suzuki

――その一方、好はスイッチが入ったときは人格が変わったような驚異の集中力を見せる人物でもありますよね。

上坂 そうですね。わりと二重人格っぽい感じというか。普段の好は女子高生らしいかわいい面があるんですけど、試合になるとゲームで鍛えられたオブザベーション(観察)力で、たちまち目の前の壁の攻略法を見つけ出してしまうんです。

だから、みんなでいるときと、ひとりで競技に向かい合っているときでは、両極端なお芝居をしています。ただ、二重人格っぽいといっても、それは「周りが見えないやばい子」じゃなくて、「集中力がものすごい天才的な子」なんだよということが伝わるように気をつけました。

上坂さんが演じる笠原好。©石坂リューダイ・サイコミ / 花宮女子クライミング部応援団上坂さんが演じる笠原好。©石坂リューダイ・サイコミ / 花宮女子クライミング部応援団

――上坂さん自身はアニメのPR企画で初めてボルダリングを体験されたそうですね。

上坂 共演の石川由依(チームメイトの上原隼を演じた)さんと一緒にジムに連れて行っていただきました。まったくの初体験だったんですけど、運動神経がない私でも、すごく楽しくできたのがうれしかったです。めちゃくちゃ達成感がありました。

――少し難易度が高い課題も「一撃」(初めてのトライで完登すること)されたとか。

上坂 もう、無我夢中で登りました。指導してくださった先生が、「完登に必要なのは体力よりも勇気」とおっしゃっていたんですけど、あと少しで届きそうなところで、思い切ってジャンプするところとか、ちょっとアトラクション的な要素も感じました。しんどいことはしんどいんですけど、難しさと面白さのバランスがすごくいいスポーツだと思いましたね。

――まさに好がハマったように、パズルゲーム的な魅力もあるというか。

上坂 作中でクライミングは「岩のパズル」とも言われますけど、まさにそうだなって。

――実際に体験したことで演技の参考にも?

上坂 セリフで「あそこのホールドが掴みづらい!」とか言っていたんですが、やってみたら、それが実際にどのくらい掴みにくいのかわかりました。何事も体験してみることが大事ですね。まだひとりでジムに行くのは勇気がいりますけど(笑)。でも、企画で体験させていただいたときも、ひとりで登られている女性の方がいらっしゃいましたから、全然ひとりで来てもいいんだって思いました。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る