川﨑宗則の人生相談。「飲み会での席で場になじめません。どうすれば?」 (2ページ目)

  • 石田雄太●構成 text by Ishida Yuta
  • photo by Sportiva

お悩み:「小5の息子が陸上に取り組んでいますが、我が家には車がなくて、遠くの練習場や大会会場へ連れていってあげることができません。しかも息子には他にもテニス、卓球とやりたいことがあるようです。ひとつのことへ向かわせるのが望ましいのか、本人の意思を尊重してやりたいことをやらせるのが望ましいのか。親として、どちらを選択させればいいのでしょう」/まこと2号(埼玉県)

 オレはね、子どもの頃は空手をやってた。小さい頃に小児ぜんそくがあって、病院にもよく行ったし、体も弱かったんだ。だからお父さんは空手で鍛えてもらおうと考えたんだろうね。お父さんは空手の黒帯で、オレに継いでほしかったんだと思う。でも保育園の頃は、イヤイヤ通ってた。だって、オレは野球が好きだったから。で、小学校の時、空手はやめた。だから黒帯も継げなかった。

 それから野球に夢中になったんだけど、バスケ部に入ったこともある。結局、やめさせられたけどね。高校ではバンドも組んで、ベースを弾いてた。それも先輩にバレて、続けられなかった。でも、やってよかったと思ってる。たとえば空手をやってぜんそくもよくなったし、大きな声であいさつできるようにもなった。家の前を通る人には必ず「こんにちは」ってあいさつしてたからね。かなりでっかい声でしてたよ。それは空手から教えてもらったことなんだ。

 オレはいろんなことがやりたかった。だから、息子さんもいろいろやったほうがいいと思う。いろいろやれば、いろんな人とつながることができるじゃん。

 スポーツって(幼いころは)遊びだからさ。遊びの延長なんだよね。何かひとつのことをやるなんて常識に縛られずに、いろいろやったほうがよっぽど幸せ。

 卓球したら卓球の友だちが増えて、テニスに行けばテニスの友だちが増える。陸上に行けば陸上の友だちが増えるってわけ。それはやがて大きくなった時、「おお、あの時、あそこで会ったね」ってことになるから、返ってくるものがでかいと思う。
 
 もちろん、ひとつのことをやり続けるのも悪くない。その子がそれを好きだったらね。でも、そうじゃなくて、いろんなものに興味があるんだったら、きっとその子はいろんな人と友だちになりたいんだよ。いつか、人とつながる職業に就けるからさ。今はその練習をしている。だから、いろいろやればいいんじゃないかな。

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