2020.06.10

高速水着騒動を乗り越えて。入江陵介が
ロンドンで見せたエースの意地

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

PLAYBACK! オリンピック名勝負―――蘇る記憶 第31回

スポーツファンの興奮と感動を生み出す祭典・オリンピック。この連載では、テレビにかじりついて応援した、あの時の名シーン、名勝負を振り返ります。

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 2012年7月30日。ロンドン五輪の男子100m背泳ぎ決勝で3位に入り、入江陵介は五輪挑戦2回目で初めてのメダルを獲得した。

ロンドン五輪競泳男子100m背泳ぎで、銅メダルを獲得した入江陵介 18歳で出場した北京五輪は、200m背泳ぎで5位。その後も、09年と11年の世界選手権で2位と、200m背泳ぎを得意種目にしていた。一方、100m背泳ぎも少しずつ強化に取り組み、11年世界選手権では同着だった首位ふたりに0秒22の僅差で3位を獲得。入江は、頂点が狙える位置まで来ていた。

 ライバルは、当時の世界記録51秒94に0秒14差まで迫っているマシュー・グレイバーズ(アメリカ)だった。ロンドン五輪本番、そのグレイバーズは、100mの予選と準決勝をトップタイムで通過。入江はそれぞれ5位と4位で通過した。

 入江は、決勝では前半を速く入る展開を選択した。ただし、09年世界選手権ではこの作戦を試みて4位にとどまったため、イチかバチかではあった。それでも、道浦健寿コーチと入江が話し合って、「これで行く」と、朝の練習から200mの泳ぎを崩して前半をハイペースで入る練習に取り組んだ。