2020.06.15

寺川綾の成長物語。悔し泣きのアテネからロンドンで納得の涙を流すまで

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

PLAYBACK! オリンピック名勝負------蘇る記憶 第32回

スポーツファンの興奮と感動を生み出す祭典・オリンピック。この連載では、テレビにかじりついて応援した、あの時の名シーン、名勝負を振り返ります。

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 2012年ロンドン五輪、女子100m背泳ぎで寺川綾は銅メダルを獲得した。それは彼女にとって、01年に16歳で世界選手権初代表に選ばれて以来の、長い長い挑戦の末に得た大きな成果だった。

ロンドン五輪競泳女子100m背泳ぎで銅メダルを獲得した寺川綾 小さい頃から才能を認められた寺川は、所属していたイトマンSSでも「放し飼いにされていた感じで勝手にやっていた」と言うように、奔放な少女だった。気分が乗らなければ「今日は泳ぎません」と宣言して、他の選手が練習している中、プールサイドをデッキブラシで掃除していることもあった。

 寺川は高校2年で世界選手権に初出場。翌02年のパンパシフィック選手権200m背泳ぎで銀メダルを獲得すると、周囲の期待は大いに高まった。大学時代の04年日本選手権は200mで2位になってアテネ五輪代表に選ばれたが、寺川自身が好きで力を入れていた100mでは4位。五輪前には友達に「もうやめる」と漏らすほどだった。

 当時について、寺川はこう振り返る。