2020.03.31

松田丈志が北京五輪決勝レースの前に
涙が出そうになった真相

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by kyodo news

PLAYBACK! オリンピック名勝負―――蘇る記憶 第23回

スポーツファンの興奮と感動を生み出す祭典・オリンピック。この連載では、テレビにかじりついて応援した、あの時の名シーン、名勝負を振り返ります。

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 2008年北京五輪、8月13日午前に行なわれた競泳男子200mバタフライ決勝。そこは、松田丈志が4年間かけてたどり着いた勝負の場だった。

北京五輪男子200mバタフライで見事銅メダルを獲得した、松田丈志 松田は、子どものころから宮崎県延岡市の東海中学にある25mプールを泳ぎ込んで成長してきた。そのプールは、施設を温室のようにビニール張りで囲ったもの。高校3年生だった02年には、400mと800m自由形で高校記録を樹立し、日本選手権では200mバタフライで第一人者の山本貴司に次ぐ2位に入った。その200mバタフライと、400m自由形、1500m自由形で、アジア大会にも出場した。

「日本の自由形長距離を世界に通用させるようになりたい」という、この当時に松田が語っていた目標は、マンツーマンで指導をする東海SCの久世由美子コーチとともに追い続けていた夢だった。