2020.04.05

北島康介は五輪連覇までの長い4年間を、
何を支えに乗り越えたのか

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO

PLAYBACK! オリンピック名勝負―――蘇る記憶 第24回

スポーツファンの興奮と感動を生み出す祭典・オリンピック。この連載では、テレビにかじりついて応援した、あの時の名シーン、名勝負を振り返ります。

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 2008年北京五輪の8月11日に行なわれた競泳男子100m平泳ぎ決勝。大会連覇を狙う北島康介の心に、不安は一切なかった。

北京五輪男子100m平泳ぎで北島康介が連覇。レース後の北島(写真中央)と、ライバルだったハンセン(同左)とダーレオーエン(同右) レース前に平井伯昌(のりまさ)コーチから言われたのは、「勇気を持って、最初から大きくゆっくり行け」という言葉だった。北島は「コーチからはタッチ板までがレースだと言われていました。ひと掻きひと掻きを正確に丁寧に、リズムよくやろうと思っていただけです」と話す。

 ライバルと見ていたのは、04年アテネ五輪から競い合ってきた59秒13の当時世界記録保持者、ブレンダン・ハンセン(アメリカ)だ。しかし、9日の予選で北島が59秒52で泳いだのに対し、ハンセンは1分00秒36。翌日の準決勝も59秒94で5位通過と北島にとって脅威ではなくなっていた。

 一方、予選1位通過のアレクサンダル・ダーレオーエン(ノルウェー)が、準決勝で59秒16を出してきた。それに対して北島は、後半で伸びきらずに59秒55で2位通過と、タイムを落とした。