競泳女子五輪2大会連続メダル。72年ぶりの快挙には伏線があった

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by kyodo news

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PLAYBACK! オリンピック名勝負―――蘇る記憶 第25回

スポーツファンの興奮と感動を生み出す祭典・オリンピック。この連載では、テレビにかじりついて応援した、あの時の名シーン、名勝負を振り返ります。

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 中村礼子は、2008年北京五輪の女子200m背泳ぎで、2大会連続のメダル獲得(銅)という快挙を達成した。日本競泳女子にとって、この記録は、200m女子平泳ぎの前畑秀子以来(1932年ロサンゼルス五輪銀、36年ベルリン五輪金)以来、72年ぶりの出来事だった。

北京五輪女子200m背泳ぎで、2大会連続の銅メダルを獲得した中村礼子北京五輪女子200m背泳ぎで、2大会連続の銅メダルを獲得した中村礼子 その伏線となったのは、じつは100m背泳ぎでの失敗にあった。

 4年前のアテネ五輪で中村は、200m決勝で日本記録を出し、3位同着となってメダルを獲得した。だがその前に行なわれた100mでは、前半に力んでしまった影響が最後に出てしまい、ラスト5mで2位から4位に順位を落とす惜しいレースをしていた。

 北京五輪の100mでは、予選で59秒36の日本記録を出し、好調な滑り出しでメダル圏内に入ってきたが、平井伯昌(のりまさ)コーチが言う、「弱気の虫」が出る性格が、足を引っ張ってしまった。

「僕が『予選から行け』と言ったことで、たぶん、礼子の考えは『ミスをしてはいけない』『もっとうまく泳がなければいけない』という細かなところにこだわってしまい、大胆に行こうという気持ちが少し足りなくなってしまったのだと思う」

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