不振が続くリオ五輪銀メダリスト。
競泳・坂井聖人に何が起きたのか (4ページ目)
最初に異変を感じたのが2017年世界水泳選手権だった。200mバタフライで瀬戸が3位に入賞したが、期待された坂井は6位に終わった。
「この大会は絶対にメダルが獲れると自信満々だったんです。でも、レース前に泳いだとき、手で水を掻く感覚が今ひとつ掴めなくて、すぐに腕がパンパンになったんです。これはまずいなって思って挑んだら、やっぱりダメでした。結果は6位でタイムも55秒台。これって大学1年の時のタイムなんです。なぜ、いきなりここまで落ち込んだのか、正直よくわからなくて......」
このとき、坂井はさらに高みを目指すためにレースへのアプローチを変えていた。高地トレーニングから下山して1週間後にいい記録が出るというデータから、世界選手権の3日前に下山した。そしてレースに挑んだのだが、新しいチャンレンジは結果に結びつかなかった。
世界水泳選手権が終わり、帰国するとメダリストたちは別室で記者会見をする。6位の坂井は報道陣の前で報告することもなく、そのまま帰宅した。
「空港から直帰したときは恥ずかしかったし、すごくイヤでした。『リオのときはあっち(メダリスト)に行ったのになぁ』って。でも、これが勝負の世界だって、あらためてその厳しさを感じました。ほんとマジで悔しかったですけどね」
その悔しさをバネに、2018年全日本選手権での優勝を目指して練習をスタートした。パンパシフィック選手権の出場権も兼ねた大会で、2017年は優勝しており、連覇がかかっていた。
2018年4月6日、日本選手権200mバタフライ決勝が行なわれた。
そこで坂井を待っていたのは、衝撃的な結末だった。
(後編につづく)
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