松田丈志の予感。「池江璃花子の進化は国際大会で加速する」 (2ページ目)

  • 松田丈志●文 text by Matsuda Takeshi
  • photo by Kyodo News

 パンパシとアジア大会が連戦になることについては、選手それぞれの考え方があるだろうが、五輪で戦うことを考えれば、長い期間戦い続けるタフさは当然必要だし、私も選手にとっていいシミュレーションになると思っている。

 さらに、連戦になったことによって、選手はピークを合わせるのが1回でいい。今の競泳日本代表選手に調子のピークを合わせるのがヘタな選手は基本的にいない。よく「ピークを合わせるのって大変じゃないですか?」と聞かれることがあるが、じつは、選手が自分のことを理解していればいるほど、ピークを合わせるのはそう難しくはない。レベルの高い選手ほどピークを合わせるのがうまい。

 むしろ、それができない選手は、日本代表にもなれない。というのが今の競泳日本代表のレベルだと思う(突発的なケガ等のアクシデントがなければだが)。ということは、選手にとって今夏はピークを合わせる大会が2つ続くことでピークの山を作るのが1回で済むし、今の競泳日本代表の選手たちなら当然いい調子で大会に挑めるはずだ。

 大会の間隔が空けば、その分コンディションを維持しなければならない時間は長くなる。それは仮にパンパシにピークを合わせられなかった場合、もう一度コンディションを作り直す猶予があるとも考えられるが、ピークを作るのがうまい選手ほど、もう一度ピークを作るのは負担にもなるはずだ。

 一つの調子のピークのなかで、2大会国際大会が続くことで私がポジティブに捉えているのは、同じ種目のレースをすることでレース毎にテーマを持って、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)を繰り返していけることだと思う。

 1大会で同じ種目を何度も泳ぐことはリレー種目に出ることを除けば基本的にないが、今回2大会続くことで、同じ種目を何度も泳ぐことができる。この夏の国際大会に向けて少なくとも1年かけてコンディションを作ってきた選手たちにとって、折角ピークのコンディションを作ったのに、たった1大会で終わるのは勿体無い。

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