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平昌の裏で...。東京五輪のホープ・
池江璃花子が日本新を連発していた (4ページ目)

  • 田坂友暁●取材・文 text by Tasaka Tomoaki
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 記録だけを見ていれば、池江は毎年自己ベストをマークしている。だが、身体の成長とともに記録をどんどん伸ばしていた2016年までと、2017年の後半から更新した自己ベストでは、意味が大きく違う。単純に楽しいだけの水泳から、自分が水泳を楽しいと思えるのは、どんな瞬間なのか。その瞬間を味わうためには、自分は何をどう取り組めばいいのか......。池江は、自分の気の緩みが招いた世界大会での悔しさによって、本当の意味で競技としての水泳を楽しむとはどういうことなのかに気づくことができたのだ。気づいたから、どんなときでも、どんな練習でも気を抜くことがなくなったのである。

 コナミオープン2018の200m自由形後のインタビューで、水泳が楽しいと思える原動力は何ですか、という質問をぶつけてみると、池江は満面の笑顔でこう答えた。

「全部が楽しいんですよ。つたない言い方かもしれませんが、『私泳いでる、楽しい!』って。レースも練習も、泳ぐというだけで幸せですし。うまく言えないんですけど......そういう単純な気持ちを持てているのも、水泳が楽しいと思える要因だと思います」

 ただ泳ぐだけでも楽しかった。記録が出れば、もっと楽しかった。そこに悔しさという新たな経験が加わり、水泳を楽しむことの意味を自分なりに見つけ出した。こうなると、池江は強い。悩み、迷いながら、そして日々成長を続けながら、水泳を心から楽しむ池江の泳ぎを、今年は私たちも心から純粋に楽しみたい。

◆カッコ悪くても勝つ。カーリングの求道者・藤澤五月は勝利に飢えている

◆東京五輪へ明るい兆しの日本新5つ。「競泳W杯」松田丈志レポート

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