平昌の裏で...。東京五輪のホープ・池江璃花子が日本新を連発していた (2ページ目)

  • 田坂友暁●取材・文 text by Tasaka Tomoaki
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 予兆はあった。年が明けて1月14、15日に、短水路(25mプール)で行なわれた東京都新春水泳競技大会で、池江は100m、200m自由形、50mバタフライ、200m個人メドレーの4種目で短水路日本新記録を樹立。特に200m自由形は、短水路ながら従来の記録を1秒近く縮める好記録だった。

 池江がここまで記録を伸ばせたのは、昨年の世界水泳選手権での苦い経験が生きているからだ。

 昨年1月の段階では、200m自由形で日本記録を更新しており、いつも通りの勢いのある"池江璃花子"を見せていたが、4月の日本選手権、5月のジャパンオープン2017と、なかなか目標にしていた自己ベストが更新できず、徐々に表情に陰りが見え始める。

「楽しかったはずの泳ぐことが、楽しくない」

 そんな気持ちが、レース後のコメントの端々に見え隠れしていた。

 そして、メダルを狙った世界水泳選手権の100mバタフライ決勝。6位に終わった池江は「実力不足。(メダルに)自分の力が及ばなかったことがすごく悔しい」と涙を流した。

 原因はわかっていた。リオデジャネイロ五輪以降、次の目標は明確になっていたにも関わらず、どうしても練習に身が入らない。結果を残したリオデジャネイロ五輪前よりも、あきらかに冬場の泳ぎ込みが不足していた。それでも、何とかなるだろうという気持ちもあったのだろう。だが、現実は残酷だった。練習への取り組みが、ハッキリと結果に表れてしまったのだ。

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