4位も納得。アメリカ単身生活で
入江陵介の「復活計画」が順調に進む

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Fujita Takao

 決勝前日に行なわれた男子100m背泳ぎ準決勝で、全体4位で決勝進出を決めた入江陵介(イトマン東進)の表情は、ここしばらく見られていなかったほど輝きのあるものだった。

4位という結果に悔しさを滲ませながらも、手応えを感じている様子だった入江陵介4位という結果に悔しさを滲ませながらも、手応えを感じている様子だった入江陵介 それは、2年ぶりの52秒台に迫る53秒02という好タイムを出しただけではない。リオデジャネイロ五輪後は現役を続行するかどうか3カ月間悩み、その上で本拠地をアメリカに移して競技続行をすることを決めた。ブランクもあってか、今年4月の日本選手権では100mは優勝した萩野公介に敗れ、200mも派遣標準記録をギリギリで突破しての代表確定だった。しかし、それから世界水泳までの間に強化にもしっかり取り組めて、大きな手応えを感じられるようになっていたからだ。

「アメリカではすべて自分でやらなければいけない生活で、今までやったことのない自炊もしています。体のメンテナンスも自分でやらなくてはいけないので、自分に向き合うことが多くなりました。泳ぎでも悪いところに気がついた時には『こういうところに気をつけなければいけない』などと携帯にメモをしておいて、次の時に見返すようにもしたりしています」

 日本にいる時は、ナショナルチームに入るとトレーナーに頼ってしまうことも多かったという。だが、今は補強(泳ぎ以外のトレーニング)なども自分で考えて入念にやる癖もつき、トレーナーには最後の確認をしてもらう程度だ。自分の体の状態を自分で把握できていることで、この大会でも日に日に状態がよくなっている感覚がわかると笑顔を見せる。

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