【水球】中国撃破でリオへ!日本代表を強くした「秘策&完全拘束」 (4ページ目)

  • 田坂友暁●文 text by Tasaka Tomoaki
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 大木HCは「五輪に出場するというのは、選手たちの人生を変える出来事です。そのチャンスが目の前にあるのに、集中力を切らしているようでは到底五輪に手なんて届くはずがない。五輪に32年間出られなかったのは、昔の選手たちが下手だったのではなく、それだけ難しいことなんです」と語る。

 選手たちは満身創痍の状態ながらも、4年前の悔しさを知っているだけに、誰ひとりとしてこの2カ月間に気持ちが折れることはなかった。この総仕上げこそが、何よりも五輪出場権を獲得するという『断固たる信念』を持つことにつながり、32年ぶりの五輪出場という大輪の花を咲かせるに至ったのである。

 4年前の呪縛を解き放ち、新たな一歩を踏み出した水球日本代表は、まだスタートラインに立ったばかり。新システムも五輪予選で結果を残したことにより、世界的に研究されていくことが予想される。しかし、五輪で目標に掲げる"ベスト8"に手が届くかどうかのカギを握るのは、やはり攻撃の要であるパスライン・ディフェンスだ。これをいかに進化させていくかが、今後の日本代表チームの課題となる。

『前進なくして、進歩なし』

 世界に先駆けて新システムを開発した大本HCの目には、リオデジャネイロ五輪はもちろん、その先の五輪で活躍する代表チームの姿まで見据えていることだろう。

「五輪のことも考えないといけませんが、しばらく家にも帰していませんから、選手たちには少しだけ休んで英気を養ってもらいたい。リフレッシュして、また来年から新たな気持ちでスタートしていきます」

 少しずつ、確実に進歩を続けてきた日本代表は、リオデジャネイロ五輪という舞台を経験し、さらに新しい一歩を踏み出していく。

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