【水球】中国撃破でリオへ!日本代表を強くした「秘策&完全拘束」 (3ページ目)
海外での経験値も高い選手が揃っていたにも関わらず、なぜ負けてしまったのか。大会を振り返ってみて考えた大本HCは、ひとつの結論に達する。
「シュート数も少なく、常に攻撃されている印象が強かった。積極性というか、思い切りが足りなかったのではないか」
早速、翌年から代表チームの大きな改革に乗り出した。それがパスライン・ディフェンスだった。水球のセオリーは、5人でゴール前を固めるゾーンディフェンスだが、パスライン・ディフェンスは一切ゴールを守らず、相手にマンツーマンで当たっていくという型破りなシステム。自陣のゴール前まで下がらないため、攻撃に転じやすくなり、日本の機動力を生かせると考えたのだ。
世界でも初となるこのシステムに、選手たちからの反発も当然大きかった。しかし何よりも、積極的に点を取りにいくスタイルを作れることに魅力を感じていた大本HCは、選手たちと幾度となく話し合いを繰り返し、現在のシステムを4年かけて作り上げていった。
個人スキルを上げるために、4年前の大きな挫折を経験した7人の選手のうち5人が、世界トップレベルの選手たちが一堂に会するヨーロッパのプロリーグに身を置いた。そしてアジア大陸予選前、最後の仕上げとして取り組んだのが『2カ月間の完全拘束』だった。2カ月間、選手たちを一度も家に帰さず、グアム、ハンガリー、オーストラリアなど海外を含めた合宿を敢行したのだ。
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