【水泳】18歳・山口観弘が世界新記録樹立。
北島康介を超えるその能力

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 中村博之●撮影 photo by Nakamura Hiroyuki

岐阜で行なわれた国体の競泳平泳ぎ200mで世界新を記録した山口観弘岐阜で行なわれた国体の競泳平泳ぎ200mで世界新を記録した山口観弘 日本水泳連盟・上野広治競泳委員長の「世界記録を狙わせる」という9月15日の発言もあり、岐阜国体で、高校3年生の山口観弘(あきひろ)が数多くのマスコミに注目されていた。

 山口は、8月29日のJO杯男子200m平泳ぎで、北島康介の日本記録にあと0秒06秒と迫る2分07秒57(ロンドン五輪3位相当)を叩き出していた。山口はこの大会前日の夜11時にハワイで開催されたジュニアパンパシフィック選手権から帰国したばかりで、時差ぼけで3時間しか眠れなかったにもかかわらず、好タイムを記録。周囲の期待も高まっていたのだ。

 そして、18歳になったばかりの山口は、それをプレッシャーと感じることもなかった。この日、前半の100mをレース前の予定より0秒1速い1分01秒72で入ると、最後の50mを32秒23でカバーして2分07秒01。ロンドン五輪でダニエル・ジュルタ(ハンガリー)がマークした世界記録を、0秒27も更新する大記録を叩き出したのだ。

「予選を泳いだ感じで、『決勝は日本記録は更新できるだろうけど、いって2分07秒10~20くらいかな』と話していたんです。それが2分07秒01までいったのに驚いたけど、屋外プールという環境や試合間隔が詰まっていたという条件などにも関係なく実力を発揮することが、素晴らしいと思いますね」

 昨年の11月から今年4月まで山口を指導し、来年4月以降は東洋大へ進学する彼を本格的に指導する予定の平井伯昌コーチは、こう言葉を続ける。

「しかもそれがポコッと1回だけ出た記録ではなく、8月17日のインターハイで2分07秒84を出して以来、26日のジュニアパンパシフィックでは2分08秒03で、JO杯でも2分07秒54を出している。アベレージは並の高さではない。たぶん、今回のリザルトを見たらジュルタを初めとする外国勢も驚くと思う」

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