【マラソン】「結果が出なかったら、もうやめようと思っていた」故障続きだった丹所健、覚悟の初マラソンでMGC切符 (4ページ目)
【MGCで強い存在感を示してきたHonda】
来年10月のMGCに向けて、すでに動き出している。北海道マラソン後、過去のMGCの映像を見返した。まずは故障なく本番を迎えることが大きな課題になるが、それまで特別なことをするつもりはない。
「まずはひとつひとつの大会で存在感を示すことですね。そうして『丹所は強いな』とほかの選手に思わせたい。そのためにも東日本実業団駅伝、ニューイヤー駅伝を走り、来年の大阪マラソンか東京マラソンで結果を残して、MGCにつなげていきたいです」
丹所には、心強い前例がある。過去2回のMGCでは、Hondaの選手が強い存在感を示してきた。第1回は設楽悠太(現・西鉄)がスタート直後から飛び出し、レースを沸かせた。第2回は小山直城(Honda)が優勝し、パリ五輪代表に内定。第3回のMGCでもHonda勢の活躍が期待される。小川智監督にも自信があるようだ。
「小山さんが優勝したMGCのあと、東日本実業団駅伝の3区の試走で移動する際、小川監督が付き添ってくれたんです。その時、MGCの話になって、『丹所、MGCに行けば、絶対に勝てる。Hondaはそれができるチームだから。まずはMGCの出場権だな』と話をしてくれたのを鮮明に覚えているんです。今は『MGC(出場権を)獲ったので、監督、勝てますよね(笑)』って感じですね。僕もがんばりますが、監督を信じています」
MGCの先にはロサンゼルス五輪がある。丹所は、MGC出場権を獲る前までは、「現実を見ないといけない」と思い、あえてロス五輪という言葉を封印していた。
しかし、MGC出場権を獲得した今、ロス五輪は単なる目標ではなくなった。
「Hondaは今、中長距離のトラック組の勢いがすごいんですが、マラソン組も負けていられない。それに以前の僕と同じようにケガなどで苦しんでいる人がたくさんいると思うんですよ。僕が苦しんだ姿を4年間、見てきた人もいます。そういう人たちに、どん底に落ちてもあきらめずに上を向いて走り続けたら明るい景色が待っているよって、ロス五輪を決めて伝えたいんです。ロス五輪は、今や目標ではなく、通過点として絶対に行かないといけないと思っています」
(了)
丹所健(たんしょ・けん)/2001年生まれ、神奈川県出身。湘南工科大学附属高から東京国際大に進み、箱根駅伝は1年時と2年時に1区、3年時に3区、4年時に2区を走った。3年時の第98回大会では3区で1時間00分55秒をマークし、区間賞を獲得。大学卒業後はHondaに入社。今年8月の北海道マラソンでは2時間10分55秒で2位に入り、MGC(マラソングランドチャンピオンシップ/2028年ロサンゼルス五輪マラソン日本代表選考会、2027年10月3日開催)出場権を獲得した。マラソン以外の自己ベストは5000mが13分46秒17、10000mが28分01秒24、ハーフマラソンが1時間02分45秒。
著者プロフィール
佐藤俊 (さとう・しゅん)
1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)、「箱根5区」(徳間書店)など著書多数。近著に「箱根2区」(徳間書店)。
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