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【マラソン】箱根駅伝3区で区間賞なのに、周りからは「負けてんじゃん」丹所健が今も悔しがる理由

  • 佐藤俊●取材・文 text by Shun Sato

【不定期連載】箱根からロス五輪へ~MGCに挑むランナーの肖像~

第8回 丹所健(Honda)前編東京国際大3年時、箱根駅伝の3区で区間賞を獲得した photo by Aflo東京国際大3年時、箱根駅伝の3区で区間賞を獲得した photo by Aflo

 箱根駅伝を走ったという事実は同じでも、その物語は一人ひとりまったく違う。区間賞を重ねたスターもいれば、たった一度の出走で思うような成績を残せなかった選手もいる。本連載では、2028年ロサンゼルス五輪代表の座を争うMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)出場権獲得ランナーたちに、箱根を走った学生時代の記憶、そして世界を見据えて42.195kmに挑む現在地を聞く。

 第8回は、丹所健選手(Honda・25歳)。東京国際大時代は出雲駅伝初優勝に貢献し、全日本大学駅伝と箱根駅伝で区間賞を獲得。Honda入社後は故障や体調不良に苦しんだ時期もあったが、今年8月の北海道マラソンで2時間10分55秒をマークして2位に入り、MGC出場権を獲得した。インタビュー前編では、4年連続で箱根を走った学生時代を振り返ってもらった。

【大学入学時の記録は同期のなかで7番目】

「小学生の頃、シャトルランでほかの人より多く走れて、体力に自信があったので、中学では陸上部を選びました」

 丹所健(たんしょ・けん)が陸上を選択した理由だ。サッカー部も選択肢にあったが、それまで本格的にプレーした経験がなく、レギュラーになるのは難しいと考えた。体力勝負の長距離なら1番になれるかもしれないと思い、陸上を選んだ。

 ただ、中学、高校と全国レベルには至らなかった。

「中学は、県大会に行って満足していました。高校は、インターハイに行きたかったんですけど、そこまでの実力はなくて。関東大会には行けたので、一応、高校での目標は達成できたかなという感じでした。大学は、僕が神奈川県出身ですし、鈴木健吾さん(現・横浜市陸協)の走りがすごく印象的で、できれば神奈川大学で走りたいと思っていました。でも、熱烈なオファーをいただいたのが東京国際大だったんです」

 高校3年時、箱根駅伝予選会を見た。東京国際大は、伊藤達彦(現・Honda)、相沢悠斗ら3年生が牽引し、6位で通過した。

「達彦さんをはじめ、3年生以下が強く、僕が入学しても皆さん残っているので、箱根を目指すうえで予選会で落ちるようなチームではない。むしろ、これからシード権はもちろん、さらに上を目指せるチームだと思ったので、行く決心をしました」

 丹所が進学を決めた東京国際大には、イェゴン・ヴィンセント(現・Honda)、ルカ・ムセンビ、山谷昌也(現・ロジスティード)、宗像聖(現・三菱重工)、堀畑佳吾(現・大阪ガス)ら、のちに主力となる同期が多数入学した。5000mの持ちタイムは、同期のなかで丹所が7番目だった。

「みんなインターハイに出たり、山谷は14分06秒のタイムを持っていたりしたので、すごいなあと思っていました。でも、箱根を4年間連続で走りたいという気持ちは誰よりも強かったです。(入学時は)1年目から出られるような実力はなかったんですが、その強い思いが箱根に結びついていったんじゃないかなと思います」

 丹所にとって箱根駅伝は身近な存在だった。実家は2区沿道にあり、幼い頃から権太坂付近で観戦し、いつかこの区間を走りたいと思っていた。それを実現するため、1年目はヴィンセントや伊藤の背中を必死に追い、「何も考えずにがむしゃらに突っ込む」という気持ちで走り続けた。その結果、1年目から1区をまかされた。

「入部した当時から4年連続で箱根を走るということを意識していたので、1区に決まった時は、『1年目クリアー!』という感じでした(笑)。でも、区間13番で他大学の選手との力の差を感じました。悔しかったので、2年目はもっと上位で、区間5番以内で走るのを目指していたんです。わりと自信があったのですが、同じ1区を走って14番と順位をひとつ落としてしまい、本当に悔しかったですし、自分にガッカリしました」

 距離を踏むなど十分に練習を積めていたものの、2年目も結果にはつながらなかった。

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著者プロフィール

  • 佐藤俊

    佐藤俊 (さとう・しゅん)

    1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)、「箱根5区」(徳間書店)など著書多数。近著に「箱根2区」(徳間書店)。

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