検索

【大学駅伝】王者・青学大の主力がトラックで明暗 箱根駅伝未出場の主将は「泥臭い夏」で4連覇を誓う (2ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Shun Sato

【「今季の箱根駅伝は山で大逆転という見込みがない」】

 今季は箱根駅伝4連覇がかかる青学大だが、黒田朝日という大エースが卒業し、どのようにチームづくりをしていくのか、注目されてきた。折田壮太(3年)は「今季の箱根は、山(5区)で大逆転という見込みがないので、個々が力を伸ばして平地で勝つしかない」と語っていたが、その主軸になるのが3年生世代だ。前回、箱根2区10位の飯田翔大、1区16位の小河原、10区2位の折田、7区3位の佐藤らが健在で、さらに安島、佐々木大輝もいる。

 前回は出場を逃した黒田然も、箱根出走を虎視眈々と狙っている。

「今のチームは4年生が精神面や言葉でチームを引っ張ってくれているなか、3年生の役割は結果を出すこと。そのなかで自分は、チームにいい選手がいますので、そこに追いついて、主力としてやっていく意識でいないといけないと思っています」

 平松は、新戦力の台頭に期待している。

「今シーズンはエースがいないのですが、それはイコール、誰にでもチャンスがあるということだと思うんです。下級生のなかから主力組に入り込もうとして、しっかりと高め合っていけています。それを夏が過ぎて3大駅伝で発揮するだけかなと思っています」

 中村は、今季のチームづくりについてはどう考えていたのだろうか。

「自分たちは『今年は総合力で勝つ』と言っているんですけど、一方で個々のレベルアップがないと総合力で戦えないと思います。エース不在で自分がという思いや団結力はこの前期シーズンでついてきたと思うんですが、もっと個人の力、強さをつけないと今年は駅伝で勝てないと、みんなが感じていると思います」

 トラックシーズンは、中大と早大が圧倒的な個の力の強さを見せた。5000mのチーム上位6名の平均タイムは、いずれも1330秒を切っている。タイムは必ずしも強さを示すものではないが、それにしてもこの数字は青学大をはじめ、他校からすると脅威でしかない。

「トラックシーズンの自己ベスト更新の数では、昨年と比べても引けを取らない結果になっています。ただ、タイムで言うと中大や早大に対して、まったく太刀打ちできていないのは感じています。

 スピードという点ではトラックのタイムが指標にもなってくるので、そう考えるとかなり離されてしまっていますし、この2校は本当に強い。中大と早大はトラックをメインにしていて、自分たちは距離走やジョグをメインにしています。ただ、ここで負けていても仕方ないというのは言い訳でしかないので、夏でしっかり盛り返していきたいと思います」

 中村の言う通り、青学大にはまだ夏がある。例年、ここで走り込み、体が重いなか出雲駅伝、全日本大学駅伝をこなし、コンディションを整え、箱根で結果を出してきた。

 こうして磨かれるのがロード力だ。一定のスピードで走るトラックはタイムが出やすいが、駅伝で結果を出すには、襷を受け取った状況に対応して戦える力が重要になる。競った状態か、追う展開かで出力がまったく異なる。青学大の選手はその状況に応じて走れる力を夏に養っている。また、黒田朝日や太田蒼生(GMOインターネットグループ)など、とんでもない走りをする選手が突然、箱根に現れるのも青学大である。

「例年、青学は夏を大事にしています。夏でひとりひとりを強くする、チームを強くするというのをテーマにやっています。トラックは中大や早大に先行されていますが、ロードでは負ける気がありません。ハーフも駅伝も、ロードではどのチームにもトップを譲らない。そのためにも泥臭い夏にしたいと思っています」

 中村は、決意を秘めた表情でそう話した。チーム全体に危機感が高まっている今、暑い夏に厳しい鍛錬を自分たちに課せるか。ここまでトラックで先行する中大や早大の背中を追うべく、青学大は勝負の夏を迎えることになる。

著者プロフィール

  • 佐藤俊

    佐藤俊 (さとう・しゅん)

    1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)、「箱根5区」(徳間書店)など著書多数。近著に「箱根2区」(徳間書店)。

2 / 2

  • Googleで優先するソースとして追加

Googleの「優先ソース」について

キーワード

このページのトップに戻る