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【箱根駅伝2026】山下りを2秒差で制して区間賞 創価大・小池莉希が明かす「爆走の裏側」と「5強を崩せない焦燥」 (2ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun

【「これだな」と思った、國學院大の選手の言葉】

 だが、チームの総合8位という結果について聞くと、途端に表情が厳しくなった。今回の創価大は、往路復路ともにあってはいけないブレーキ区間が出るなど、前評判ほどの走りを見せられなかった。小池はこう話す。

「今回の箱根を見て思ったのは全体のレベルの高さです。箱根はもう1km3分(ペース)では勝負にならない。往路は1km2分50秒切り、復路は2分55秒切りの時代になっています。(チーム全員に)意識を一段上げるよう求めていかないといけません。

 僕は、(昨年卒業した)吉田響(現・サンベルクス)さんの"人間の限界を超えていく走り"に影響を受けたんですけど、あらためて響さんの『限界を超えて、やっと普通』みたいな意識で全員がやっていかないとダメですね。『自分はこのくらいで走れればいいや』みたいな甘い考えでは、箱根は戦えないぞと思います」

 創価大は、出雲駅伝で過去最高の3位を達成したが、そのレースに出場した6人に続く中間層の底上げも課題だ。

「全日本の時にチームとして(中間層の力不足を)痛感して、それからハーフ(マラソン)に多くの選手が出るなどしてきましたけど、結局、箱根では結果が出なかった。これは次のシーズンに向けての大きな課題です」

 小池自身は、まずチームの雰囲気を変えていきたいという。

「ウチのチームは、みんな仲がよくて、風通しもよいですけど、チーム内での突き上げというか、もっと強くなろうという雰囲気が足りないように感じます。みんなでバチバチに争う、誰にも負けないといった"魂"ですね。上位校と同じように、自分たちもそういうチームになっていかないと」

 そう強く思ったのは、ある選手の言葉がきっかけだ。昨年11月の上尾シティハーフマラソン後、小池は國學院大の吉田蔵之介(3年)と話をする機会があった。上尾ハーフは箱根に出る大学の多くが、学内のメンバー選考レースと位置づけている。吉田は11位(1時間0201秒)とまずまずの結果だったが、「これじゃあ俺は、箱根を走るのはもちろん、メンバー16名にも入れないわ」とつぶやいたという(※吉田は箱根で10区にエントリーも当日変更)。

「これだな。これが創価大と國學院大の差だなと思いました。蔵之介君のタイムなら、ウチでは間違いなく箱根を走るメンバーに入る。でも、國學院大では1回走れなかったら次はもうない。そういう厳しさはウチにはない」

 自分がやる、自分が成り上がる、といった意識の不足については、奇しくも昨年の全日本後に吉田響も指摘していた。駅伝を走る選手と走らない選手の気持ちに温度差があり、「全員で勝つぞ」という意識が醸成されていない。競技力以前にそこが他大学との差であり、創価大の課題だと、彼は厳しい言葉を残して卒業していった。

 小池は、チームを変える役割を4年生となる次のシーズンに担っていく覚悟だ。

「もう仲よし集団じゃ勝てません。競い合うなかでお互いの信頼が生まれ、全員で戦うぞという意識が生まれてくると思うんです。今のままだと、箱根の優勝争いはおろか、シード争いに巻き込まれる可能性もあります。ここで意識を変えて、どこまでやれるかでしょう。

 このシーズンは5強と言われていましたけど、そこに創価大が入っていないのは本当に悔しかった。個人としてもチームとしても、もうちょっとスポットライトを浴びたいです。個人的には、来年も(箱根含めた三大駅伝)3位(以内)を目指してやっていきたいので、もう言っちゃいます。バチバチ厳しくいくしかない」

 小池の気持ちを、今回箱根を走った同学年の織橋巧(3区9位)、齊藤大空(1017位)、さらに2年で悔しさを味わった山口、榎木凜太朗(9区18位)が共有して、スクラムを組んで進んでいけるか。今回の箱根の厳しい結果は、創価大がワンランク上のチームに脱皮し、5強に食い込んでいくためのきっかけになるだろうか。

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著者プロフィール

  • 佐藤俊

    佐藤俊 (さとう・しゅん)

    1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)、「箱根5区」(徳間書店)など著書多数。近著に「箱根2区」(徳間書店)。

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