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【部活やろうぜ!】三浦龍司の「ちょっと濃すぎる」洛南高校時代 3000m障害ランナーとして築いた礎と他部活の生徒からも刺激を受けた寮生活 (4ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi
  • 村上匠吾●写真 photo by Murakami Shogo

【いい思い出しかない寮生活と日常で触れた京都の魅力】

 三浦に高校時代の思い出を聞くと、やっぱり寮生活に関することが多い。

「関西の人って、言葉もきつくて、熱い人が多いイメージだったんですけど、案の定、押された時もありました(笑)。でも、寮生の間では打ち解けるのは結構あっという間でした。みんな仲よくしていましたし、兄弟みたいな感じで、部活とか関係なくお互いを応援し合って、結果が出れば称え合っていました。僕としては居心地が良くて、思い出深いところでした。

 寮生が遊びに行くところといえば京都駅の目の前のイオン。どこかに出かけるとなると、だいたいがそこに行っていました。映画館もあるので、みんなで映画を観に行ったりしていました。

 思い出深いエピソードとしては、高校3年の時(2019年)にラグビーのワールドカップがあって、みんなで食堂のテレビで熱く応援したことですね。結構夢中になって、夜遅くにもかかわらず、テレビに向かってどデカい声で応援しました。次の日に、しっかりと大きな貼り紙がありました。どうやら近隣から苦情があったようで......。

 寮で過ごした3年間はだいぶ濃くて、公に言えることのほうが少ないですね(笑)。"ザ・男子高校生"みたいな極みですよ(編注・学校は男女共学)。みんなでワイワイやっていました」

 高校記録を打ち立てるなど華々しい活躍を見せた一方で、寮に帰れば普通の高校生に戻ることができたのだろう。

 部活動でもちょっとしたことが思い出として残っている。「めちゃめちゃあるので、選べないですけど...」と前置きした上で、話してくれたのは試合の日のひとコマだ。

「西京極の競技場で試合がある時は、みんなで電車で行くんですけど、帰りは四条河原町に寄り道していました。で、リンツ(チョコレートの試食)をもらって帰ってくるだけなんですけどね。しかも、制服で、坊主で。競技会とセットで、それも思い出深いものがありますね」

 また、故郷を離れて、観光地の京都で3年間を過ごしながらも、満足に観光することはなかったという。ただ、高校3年の秋に初めて京都の美しさに触れる機会があった。

「ユース大会のある時期に、その試合に関係のない3年生は普通に練習をしていて、嵐山までジョグで行ってみたんです。ちょうど紅葉がものすごくきれいな時期でした。そこで初めて『めっちゃいいところじゃん、京都!』って思いました。3年間、ろくに観光もしたことがなかったので」

 三浦にとって日常のささやかな瞬間もまた、かけがえのない思い出なのだ。

著者プロフィール

  • 和田悟志

    和田悟志 (わだ・さとし)

    1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。

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