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【部活やろうぜ!】陸上3000m障害・三浦龍司が「また行きたいな」と思って通い始めた陸上クラブの楽しさと小中学時代 (3ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi
  • 村上匠吾●写真 photo by Murakami Shogo

【中学時代は全国のレベルに「1ミリも及ばなかった」】

  三浦龍司は積極的なレースとラストスパートで世界の表彰台を目指している photo by Getty Images 三浦龍司は積極的なレースとラストスパートで世界の表彰台を目指している photo by Getty Images  浜田ジュニア陸上教室は週末には浜田JASというクラブチームに名前が変わり、平日よりも多くの子どもが通っていた。三浦は中学生になると陸上部に入ったが、並行してクラブチームでも練習を続けた。

「陸上の指導者がいる学校に行きたいなと思って選んだんですけど、僕が入学する年に離任されていて、中学に陸上を教えられる先生がいなかったんです。それだったらクラブに顔を出しながら部活動もやったほうがいいなと思い、そういう形になりました。

 そもそもクラブチームは、本当は小学生対象で、中学生のカテゴリーはなかったんです。でも、クラブチーム出身の子たちから『中学生になっても指導を受けたい』という要望が多くて、僕らの時から上ケ迫先生たちがプラスの時間を作って、見てくださるようになりました」

 一方、中学校の部活動のほうは遊び半分。「不真面目で、陸上の練習をせずに、部室でみんなでサボって遊んでいました」と意外な一面を明かす。とはいえ、小学生の頃から浜田市では突出した存在で、中学に入ってもめきめきと力をつけていった。

「カルチャーショックだったのが、地区の合同練習に初めて参加した時に、ペース走を初めて経験したんです。『なんだ、この練習は!?』みたいに思ったのを覚えていますね。そんな環境下でやっていましたから。

 中学生の時は、力がついているなと思ったことは正直あんまりなかったんです。クラブチームがあったから、かろうじて走れてはいましたが、全国的に同年代のタイムで比較しても差がかなりありましたし、自分が強いって思ったことはなかったです」

 そんな三浦の言葉とは裏腹に、中学1年生の時からジュニアオリンピックに出場しており、県ではトップレベルの実力だった。3年生の時には全日本中学校選手権や国体にも出場している。だが、いずれも予選落ちに終わっており、全国の壁は高かった。

「ジュニアオリンピックに出場した時に『1ミリも及ばなかったな』という思いが残っています。全国のレベルの高さを思い知らされた3年間だったなと思います」

 それでも2年生から3年生にかけては走力が上がった実感があったという。

「中学2年の時の中国地区の大会でボロ負けしたんです。それが悔しくて、最後の1年間はちょっと頑張ろうと思って、自主練習をするようになりました。それで3000mでタイムが出るようになり、3年の時は中国地区大会で1500mと3000mで二冠をすることができ、ひとつ成果が出ました。それを奥村先生が見に来てくださっていたんです。ジュニアオリンピックにも出ていたので、そこでも評価してもらえたようです。それで声をかけていただきました」

 奥村先生とは、京都の洛南高校の奥村隆太郎監督のこと。当初は島根県内の強豪校に進学しようと考えていたが、県外進学という新たな選択肢ができた。

「中学校の先生から『洛南高校から声がかかっているよ』と言われて、最初は『まさか』と思いました。県外、しかも強豪校から話がくるとは思わなかったので『本当ですか?』と聞き返していました。でも、結構早々に決断しました。

 上ケ迫先生にも相談し『来てほしいって言ってくれるところに行くのがいいんじゃないか』と言ってもらえて、背中を押してもらって、それで決めました」

 こうして三浦は島根を出て、全国屈指の強豪・洛南高に進学することになった。

つづく

Profile
みうら・りゅうじ/2002年2月11日生まれ、島根県浜田市出身。洛南高(京都)―順天堂大―SUBARU。小学生時代から陸上競技を始め、高校時代から3000m障害に取り組む。高校1年時から全国大会で活躍し、高3時には30年ぶりに高校記録を更新。順天堂大進学後の初レースで37年ぶりのU20日本記録更新、2021年5月には18年ぶりに日本記録を更新すると、その後も自身の日本記録を更新し続けている。オリンピック、世界陸上選手権では日本人初の入賞者(8位以内)となり、オリンピックは21年東京大会、24年パリ大会で連続入賞(8位以内)、世界陸上でも22年オレゴン大会、23年ブダペスト大会、25年東京大会に出場し、現在2大会連続入賞を果たしている。自己ベストは3000m障害8分03秒43(2025年)。

著者プロフィール

  • 和田悟志

    和田悟志 (わだ・さとし)

    1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。

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