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【箱根駅伝2026】國學院大が描く初優勝へのシナリオ 「5人のジョーカー」を中心に、「必ず対等の勝負ができる」充実の選手層をどう生かすか? (3ページ目)

  • 杉園昌之●取材・文 text by Sugizono Masayuki

【未知数の山区間と充実の復路候補】

 往路の平地区間は自信にあふれるジョーカーたちで埋まり、不安要素は見当たらない。ただ、山区間だけは未知数。國學院は2大会連続して5区で順位を落としており、懸案事項のひとつになっている。前田監督も課題に上げ、早くから取り組んできた。クライマー候補に上がるのは下級生。夏前から人選を絞り、次回以降も見据えながら能力を見極めてきた。

「やはり、適性はあります。あとはメンタリティも大事。今回はそういうランナーに出会えたので、期待しています。何も問題なければ、そのまま投入します」

 爆発的な走りではなく、現実的にはいかにしのぐかがカギ。高知工高出身のルーキーは候補のひとりか。昨年、全国高校駅伝の1区でキャプを後ろ向きで被っていたあの男である。髙石樹。指揮官は入学前からその素質に期待を寄せており、本人も将来は2区を希望する未完の大器。出雲、全日本には出走していなかったが、「強い選手に挑んでいきたい」と負けん気は人一倍強い。上尾ハーフで1時間01分29秒と好走した1年生の野田顕臣は、隠れた同期の走りに舌を巻く。

「レースに出ていないだけで、練習では僕よりも走れていますし、めちゃくちゃ強いですよ。僕はドラフト2位なんで」

"ドラ1"の秘密兵器は山に投入されるのか。興味を引くところだろう。

 復路には箱根経験を持つ3年生に加えて、伸び盛りの下級生たちが多く残っている。充実した中間層こそが、ライバルをしのぐ國學院の強みだ。前田監督は「7区までで先頭に立てば、そのまま流れていく」と自信をのぞかせる。

 1年時に6区を経験した後村光星(3年)は山下りのスペシャリスト。1年を通して故障で苦しみながらもエントリー入りしており、スタートラインに立てば、大きな戦力になるはず。さらに伊勢路の5区で区間2位の飯國新太、6区で区間4位の浅野結太という3大駅伝デビュー戦で結果を残した2年生コンビ、前回10区で区間3位と奮闘した吉田蔵之介(3年)、先輩たちから「ウルトラマラソンを走れるくらのスタミナがある」と恐れられる野田と陣容は整っている。

 エースの集まる2区とタイム差が開きやすい5区は注目されるが、國學院の勝負どころは、別区間にあることを匂わせる。

「どこで、自分たちのストロングの区間を持てるのか。そこが順位を大きく左右するのかなと」

つづく 

著者プロフィール

  • 杉園昌之

    杉園昌之 (すぎぞの・まさゆき)

    1977年生まれ。スポーツ総合出版社の編集兼記者、通信社の記者として働いた後、フリーランスのスポーツライター兼編集者へ。現在はサッカー、ボクシング、陸上競技、野球、五輪競技全般とジャンルを問わずに取材している。

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