【箱根駅伝2026】スピード軍団・中央大、箱根では「先手必勝。最初からいく」 全日本2位で「夏の手応え」をつかんだ (2ページ目)
【1年かけて山を走る選手を育成してきた】
短い期間でもチームが修正できたのは、夏合宿で例年以上の距離を踏んだことも大きいだろう。月間走行距離は、吉居と柴田は例年より多い900km、岡田は1000kmを超えたという。その成果を、柴田はこう語る。
「相当走りこみました。また、そうしたキツいなかでも、ポイント練習をはじめ、1本1本の練習で出しきってきたので、今回のようにレース中盤や後半でも、しっかり安定して走れることにつながったのかなと思います」
2区の吉居は、8位で襷を受けてスタートすると、落ち着いた走りで入り、2.3km地点で先頭集団に追いつき、ラストスパートで帝京大を抜いてトップで襷をつないだ。そのラストスパートは「自分の体と相談して、ここからいけると思って仕掛けた」というが、トラックでのスピードが生かされた一級品だった。
4区の柴田も、國學院大の高山豪起(4年)を相手に一歩も引かない走りを見せ、トップで三宅悠斗(1年)に襷を渡した。ちなみに、その際、柴田はガッツポーズをしたのだが、藤原監督からは「(ガッツポーズは)いらない。あと5秒削って欲しかった」と言われ、「三宅が初めての駅伝で1秒でも削って渡しかったんですけど......すみません、(ガッツポーズが)出てしまいました」と反省していた。
とはいえ、柴田の好走もあり、4区終了時点までトップをキープしたことが、結果的に2位につながったといえる。藤原監督もやはり、夏の手応えを感じたという。
「夏にガラっとトレーニングを変えてやってきました。この全日本に向けて、状態が上がってくるようにつくりましたので、それぞれ持っているものをちゃんと出せたという意味ではよかったのかなと思います。
ただ、6区(佐藤大介・2年)、7区(岡田)は、出雲ではよかったんですが、今回、ちょっと苦戦しました(それぞれ区間3位、6位)。特に、岡田がちょっと不発だったのが残念でしたね。それでも、アンカーの溜池が持っている力を出し、4年生らしい(頼もしい)走りをしてくれた。区間賞を獲らせてやりたかったですけど、チームを2位に押し上げ、一矢を報いてくれたので、箱根での走りも楽しみです」
出雲の1区で区間賞を獲った岡田は、その後、少し調子を落としたという。全日本に向けて状態を戻してきたものの、7区6位という結果に悔しさを滲ませていた。
「襷を受けた時は、前の駒澤大の佐藤(圭汰)さん(4年)を追っていくことと、後ろの國學院大(青木瑠郁・4年)を離すことを考えていました。後ろを離すことができたのはよかったんですけど、前が全然追えなくて......。(佐藤さんが)故障上がりならもうちょっと戦えるのかなと思ったのですが、(ともに7区を走った)昨年の箱根から、佐藤さんとの差は全然縮まっていなかったです。ハーフ(マラソンの距離)をしっかり走れる力を蓄えて、もう一度戦いたいと思っています」
2位で襷を受けた岡田は、3位の國學院大・青木との差を広げたものの、5位から追い上げてきた青山学院大の黒田朝日(4年)に抜かれた。最終8区スタート時、2位の青学大との差は36秒。アンカーを務めるエースの溜池は、5km手前で青学大の小河原陽琉(2年)をかわし、そのまま2位をキープしてゴールした。中大は出雲駅伝からV字回復を見せたが、藤原監督は今回、他校の走りを目の当たりにしたことで、箱根に向け、あらためて気を引き締めている。
「(優勝した)駒澤大は、(つなぎ区間とされる)5区、6区にエース格の選手を置いて流れを変えましたけど、それができるのが駅伝巧者だと思います。それに佐藤圭汰君という軸が1本入ると全然違うチームになるので、箱根も強いでしょう。青学大も山でガラッと流れを変える選手、ゲームチェンジャーを育成していると思います。ただ、山については、われわれもこの1年かけて育成、強化してきた選手がいますので、それをぶつけて勝負したいですね」
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