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【箱根駅伝2026】予選会10位滑り込みの立教大、エース欠場の激震も「順位はよくないけど、次につながる」 (3ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun

【馬場に頼るのではなく、全員がエースに】

 髙林監督は、あらためて予選会をこう振り返った。

「出足は悪くなかったです。10㎞地点ではトップでしたし、15㎞でも4位でした。17.4㎞で8位に落ちたので、これだとたぶん10番か11番かなと。発表が9番目に来ても名前が呼ばれないのはしょうがないと思っていましたが、最後の10番目の発表の瞬間、少しタメるじゃないですか(苦笑)。まぁ、なんとか首の皮一枚でつながって箱根に行けるので、このチャンスをしっかり生かしていきたいですね」

 生き残ったのはいいが、もちろん、課題はある。國安キャプテンは、これから続く全日本大学駅伝、箱根駅伝でのシード権獲得を目標に掲げているものの、まだチーム力が足りないと感じている。

「予選会では、最後の1秒まで粘って走ることができたので、この走りを駅伝にも生かして、シード権を取っていきたいと思っています。ただ、今回は10番でしたし、馬場頼みのチームになっていると感じるので、そこは今回のように、馬場に頼るのではなく、全員がエースだという自覚を持ち、これからがんばっていかないといけない。シード権獲得は、そんなに甘くないので」

 昨年の全日本で、立教大は馬場の7区4位の好走からアンカーの安藤圭佑(当時4年)につなぎ、7位に入ってシードを獲得した。箱根もその勢いで往路は8位と健闘したが、復路12位で総合13位となり、シード権に届かなかった。さらに國安自身は前回の箱根を走れなかった悔しさも抱えている。今回は是が非でもシードを獲るという強い気持ちでいる。

 馬場は、昨年に出た課題に取り組む必要があると言う。

「前回の箱根は、単独走で離されたところがありましたし、レースの駆け引きというところでも他大学より一歩遅れていた感があったので、そこはしっかり強化していかないといけないと思います。予選会では貢献できなかったので、箱根では自分がひとつでも前に襷を持っていけるようにがんばります」

 髙林監督は、昨年のトップ通過から今回10番での通過について、こう語った。

「前回はトップ通過で、私は下駄を履かせられたと思っていました(苦笑)。選手もいける、いけるみたいになっていましたが、今回は10番。これが今の自分たちの力と受け止めていると思います。選手は危機感を覚えているでしょうし、『もっとやらないと』という機運が高まってきそうな感じがします。順位はよくないけど、ラクに通過させてもらうよりは、次につながる10番だったと思います」

 予選会最下位通過。だが、失うものはない。果たして、箱根本番での立教大は、どこまで巻き返せるだろうか。

著者プロフィール

  • 佐藤俊

    佐藤俊 (さとう・しゅん)

    1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)、「箱根5区」(徳間書店)など著書多数。近著に「箱根2区」(徳間書店)。

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