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【駅伝】花田勝彦・早大監督が描く箱根駅伝優勝への試金石「出雲も全日本もどこかで先頭に立って、逃げる展開を経験したい」 (3ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi

【「選手層は厚いし、力のある選手も多くいます。ただ......」】

――(9月末の時点で)山口選手の状態は、絶好調時と比べて何割ぐらいでしょうか。

「今は7割ぐらいじゃないですかね。出雲は8割ぐらいでいいと思っています。出雲は距離が短いですし、無理をしてケガをしないことが大事。足慣らし的な感じで出られればいいかなと思っています」

――同じく、無理をさせなかったという佐々木選手に関してはいかがでしょうか。

「トラックシーズンは障害レースにばかり出場していたので、そのメンテナンスもあって合宿は控えめにやっていました。ですが、ここに来てポイント練習をこなすごとに調子を上げてきています。

 ただ、ほかの選手たちも調子が上がってきています。やっぱり力のある選手ですから、7〜8割でも使いたいところですが、9〜10割の状態の選手を使うという選択肢もある。現状で9人ぐらいは、誰が走ってもいけるような状況です」

――核となる選手が揃っていて、彼らに"頼る"のではなく、彼らを"生かす"チームになってきているということでしょうか。

「そうですね。去年よりも選手層は厚いし、力のある選手も多くいます。ただ、今年度の目標である箱根駅伝の優勝を成し遂げるには、ひとりでも欠けたら勝てません。核となる選手に頼るというのではなく、全員が万全な状態で臨まないと戦えないと思っています」

――8月の時点では「上の選手は去年よりも確実に強いが、トータルではとんとん」という表現をされていました。そこからは一歩前進したように感じます。

「はい。去年よりもトータルで見ても上がってきた感じはしています。9番目、10番目の底上げができてきたので。とはいえ、箱根のメンバー候補が、今16人いるかといったらまだ16人はいないので。やっぱりまだまだ選手層は薄いと思っています」

――先ほど「どういうメンバーを組んでいくか......」とおっしゃっていました。出雲駅伝の区間構想やレースプランは固まっているのでしょうか。

「出雲は気象条件に左右されるレースです。特に後半が追い風か向かい風かで変わってきます。こういうメンバーでいきたいという構想はありますが、当日の気象を考慮したうえで、オーダーを組み替えたいと思っています。

工藤は力がありますし、智規もどこでも走れる。力のある選手たちを主要区間に使うのか、それとも風を考慮し後半のつなぎ区間に使うのか、いろんなバリエーションがあります。ずっと先頭争いにいなければダメだと思うので、どうやったら優勝に近づけるのか、考えているところです」

――初戦の出雲から優勝を視野に入れている。

「そうですね。もちろん箱根が一番大きなターゲットになりますけど、そこに向けて勢いをつけるという意味でも、悪くても3位以内、できれば優勝争いに絡んで先頭を走りたいです。

 去年からずっと言っていますが、やっぱり先頭を走る経験をしないと、なかなか優勝には届かないのかなと感じています。そういう意味で、出雲も全日本もどこかで先頭に立って、逃げる展開っていうのをやってみたいと思っています」

著者プロフィール

  • 和田悟志

    和田悟志 (わだ・さとし)

    1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。

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