検索

東京2025世界陸上、男子100m代表争いで急浮上の守祐陽 大東大コーチが語る「高速ピッチの強み+体の成長=結果」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【佐藤コーチが見出した100mへの適性】

 守が一躍、トップシーンで注目されるようになったのは今年5月の関東インカレ2部の決勝で、追い風3.9mの参考記録ながら9秒97を出した時だ。その後の同1部決勝ではパリ五輪代表の栁田大輝(東洋大4年)が追い風4.5mで9秒95を出し、ともに強烈なインパクトを与えた。

「いい意味でも悪い意味でも、あれで注目されるようになりましたけど、9秒97がアダとなって『変に注目されるな』とプレッシャーに感じていた部分はありました。でも一度、6月の日本インカレで調子が落ちて10秒50もかかり(7位)、そこでまた一から見つめ直して7月の日本選手権からは上り調子でこられた。今回もしっかり10秒00のスピードに(体が)耐えられたというのは、関東インカレの9秒97を走れたこともいい影響になっていたと思います」

 守を指導する佐藤真太郎コーチは「日本インカレの前に練習はかなり積んでいて、本人にも(試合に向けた)『調整はしないよ』と話していた」と言う。その時の練習では200m2本、その間3分ほどの休みを入れてともに20秒台で揃えていた。

「記録を出した(参加標準記録を突破した)あとに電話で話した時、『(走り込みを優先するので)日本インカレは調子が下がるけど、伝えていたよね』と言うと、『本当にそうでした。あの時走っていてよかったです』と話していました。ただ、日本インカレも練習で体がバキバキになった状態でも10秒2では走るだろうと思っていたけど、それより遅かった。でも、1位が10秒31だから『それはしょうがないね』という話はしていました」

 市立船橋高時代、インターハイは3年時に出場して100mは8位、200mは準決勝敗退だった守。大学1年では関東インカレの2部200mで2位になったが、佐藤コーチは「200m専門というより(適性は)100mだな」と思っていたという。

「200mは地面から力をもらって大きいタイミングで走る選手が向いていますが、自分で積極的にその空間を潰して細かく刻める選手は100mもできる」と佐藤コーチ。

「高速ピッチ」という守の強みについては「空中で挟み込んで足を切り替え、前に出てきた足を逆の足が追っていくような連続運動になっている感じなので、しっかり(地面を)踏み込むことはしてなくて空中で切り替えているから、むしろ『踏み込むな』と言っているぐらいの感じです」と説明する。

2 / 4

キーワード

このページのトップに戻る