検索

早大エース・山口智規が日本選手権で快進撃 主戦場の5000m出場を見送り、センゴ(1500m)で勝負した理由とは (2ページ目)

  • 和田悟志●取材・文・写真 text & photo by Wada Satoshi

【「短いほうからアプローチしていかないと、世界に通用しない」】

 1500mは福島・学法石川高3年時にインターハイで8位入賞した種目だが、大学に入ってからはトラックでは5000mを主戦場としてきた。記録会で走ることはあっても、大きな試合で1500mに出場するのは、今年6月の日本インカレが高校時代以来のことだった。

 今回の日本選手権も、1500mと5000mの2種目で出場資格を得ていたが、当初は5000mのみに出場するつもりだった(両種目とも決勝が最終日に行なわれ、しかも間が1時間しかないため、2種目に出場するのは難しかった)。

 その考えが変わったのは、二冠を果たした日本インカレのあとだ。

「日本インカレがうまくいったので、現実を見た時に5000mと1500mとではどっちで勝負できるかなって考えた時に、1500mで決勝にいって勝負したいなと思いました」

 それともうひとつ、2月から3月に敢行したオーストラリア・メルボルン遠征で実感したことも、本職ではない1500mに出場を決めた理由にあった。

「オーストラリアに行ってだいぶ意識が変わりました。短いほうからアプローチしていかないと、これからはなかなか世界に通用しないと感じたので、若いうちに1500mをやろうと思いました」

 自身の今後のキャリアを考えた上での選択でもあった。

 もっとも本職でなくても、日本選手権では1500mで確かなインパクトを残した。

 予選では、残り2周を前に先頭に立ちペースアップすると、最後までハイペースで押しきった。

「予選は(同じ組に)森田さんや河村さんといった日本のトップで勝負する選手がいるので、どこまで僕のラストが通用するのか確認して、決勝に挑みたいなと思っていました。自分のタイミングで出られてよかったなと思います」

 今季日本グランプリシリーズで2勝している森田佳祐(SUBARU)や日本記録保持者の河村一輝(トーエネック)といった1500mの実力者が相手でも、後手に回ることなく自身のレースを敢行。堂々としたレース運びで、1着でフィニッシュした。

2 / 3

キーワード

このページのトップに戻る