「世界から一番遠い種目」で見えてきた頂点 東京2025世界陸上での村竹ラシッドの目標は「12秒台、銀メダル以上」 (2ページ目)
【「北口さんに勝手に刺激をもらっています」】
――社会人になり学生時代と生活のリズムはだいぶ変わったのでは。
「授業はなくなりましたし、変わりましたね。シーズン中は競技に専念させてもらい、オフは『JALアスリートアカデミー』というイベントを通して子どもたちに向けた陸上教室などをやっています。別に負担ではなく、楽しくやっています」
――JALには、パリ五輪の女子やり投げで金メダルを獲得した北口榛花選手もいます。村竹選手にとってはどんな存在ですか。
「どんな存在かはあまり考えたことがないですが(笑)、オフになってイベントとかで北口さんと一緒になることが多いのですが、そのたびに金メダルを持ってきていて......。もちろん、北口さんは僕に見せるために持ってきているわけではなく、イベントで披露するために持ってきているのですが、毎回見せられると、やっぱり欲しくなるっていうか。そういう意味で、ご一緒するたびに勝手に刺激をもらっています(笑)」
――9月の世界陸上に向けた準備は、現状どのように考えているのですか。
「なんとなく『こんなローテーションで進めたい』という話はコーチともしていますが、本格的にシーズンが始まるのは4月以降です。そこから9月半ばの世界陸上に向けて、どうやってピークを持っていけるか。前半からトップコンディションでいっても最後までもたないので、シーズンのなかで徐々に上げながら、6月ぐらいまでに一度、8~9割ぐらいまでの出来にして、直前にさらに上げていくような感じをイメージしています」
――パリ五輪でのタータン(陸上競技場のトラックに使用されている合成ゴム)の話を聞くと、東京開催はアドバンテージがあるのでは。
「もちろん走り慣れた会場で、日本食を食べながら臨めるわけですから、全然違います。パリよりは絶対にやりやすいはずです」
――メダル獲得の期待も膨らみますが、順位など、具合的な目標はありますか。
「順位というか、メダルは絶対欲しいですし、あとは12秒台ですかね。いまの自己ベストは13秒04ですが、なんとか12秒台を出せれば。そうすれば過去の大会を考えても、ほぼ確実にメダルに届くと思いますし、優勝の可能性も見えてくる。これまで世界陸上の男子トラック競技の最高成績は為末大さん(01年エドモントン大会、05年ヘルシンキ大会、男子400メートルハードル)と末續慎吾さんの銅メダル(03年パリ大会、男子200メートル)なので、12秒台を出して、銀メダル以上を狙いたいです」
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