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箱根駅伝の優勝争いは「山」だけの差じゃなかった 青学大が4区までに作った連覇への流れ (3ページ目)

  • 酒井政人●文 text by Sakai Masato

【1区の中大・吉居の独走もレース展開に影響】

 他大学を含めたレース全体を占う意味では、1区の展開が優勝争いにも影響したと言えるだろう。中大は、前回7区で区間賞に輝いた吉居駿恭(3年)を当日変更で1区に起用。序盤で抜け出すと、3強の選手たちが反応しなかったこともあり、1分32秒もの大量リードを奪ったのだ。

「往路優勝」を狙っていた創価大は、2区に入った吉田響(4年)が爆走。怒涛の13人抜きを演じると、3区のスティーブン・ムチーニ(2年)が青学大をかわして2位に浮上した。しかし、1区で中大に想像以上の大差をつけられたことが誤算だった、と榎木和貴監督は振り返った。

「正直、吉居くんがあそこまで抜け出すのは予想していませんでした。離されても1分以内かなと。吉居くんの独走がなければ、2区以降の流れも変わっていたと思います」(榎木監督)

 創価大は3区のムチーニでトップに立つプランだったが、中大のロケットスタートにそのチャンスを阻まれた。駒大と國學院大も、ペースを乱されたのかもしれない。

 あくまで結果論になるが、國學院大はエース平林が本調子ではなかったことを考えると、1区に青木を起用し、ライバル校を引き離す戦略を取ったほうがよかったようにも思える。さらに駒大は、当日変更で7区に入った佐藤圭汰(3年)が区間記録を1分近くも更新。4分07秒あった青学大との差を一気に1分40秒まで短縮している。佐藤を7区ではなく3区に起用していれば、5区を任された選手たちの走りが少し違っていたかもしれない。

 いずれにしても、駒大と國學院大は青学大を追いかける形で山に入った時点で、敗北が濃厚になったと言えるだろう。國學院大に関しては、出雲と全日本を制したことで、例年とは比較にならないほど注目を浴びた。その重圧が、コンディショニングにも影響したのかもしれない。

 山だけでなく、レース全体の組み立て、選手のピーキングやモチベーション......。すべてで王者・青学大が何枚も上だったと言えそうだ。

(シード権争い編:「シード権争い」のラインも急上昇 7秒差に泣いた順大は、過去3大会なら5位相当のタイムだった>>)

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