箱根駅伝の優勝争いは「山」だけの差じゃなかった 青学大が4区までに作った連覇への流れ (2ページ目)
【4区までの組み立てに差】
3強の「山のタイム」(5区と6区の合計)と「総合タイム」を比べてみよう。
青学大 「山」2時間05分58秒 「総合タイム」10時間41分19秒
駒大 「山」2時間08分33秒 「総合タイム」10時間44分07秒
國學院大 「山」2時間12分39秒 「総合タイム」10時間50分47秒
駒大は山のタイムが青学大から2分35秒遅れで、総合タイムは2分48秒差。國學院大は山のタイムが青学大から6分41秒遅れで、総合タイムは9分28秒差だった。國學院大は平地区間のタイムも青学大と少し差がついたが、駒大に関しては山での差がほぼ総合成績のタイム差になっている。
ただ、駅伝は単純な計算ではない。走力だけでなく、選手のメンタル面がパフォーマンスに大きな影響を及ぼす。青学大が山でフルパワーを引き出すことができたのは、4区までの組み立てがよかった部分も大きいだろう。
4区終了時でトップは中央大。青学大は45秒差の2位につけていた。一方、駒大は青学大から1分32秒差、國學院大は同大を1分38秒差で追いかける展開だった。
青学大の5区・若林にとって中央大は射程圏内で、自分がヒーローになれるチャンスが大きなモチベーションになっただろう。対して駒大・山川、國學院大・高山は青学大とのビハインドが重荷になったはずだ。
その4区までの流れは、2区のエース対決から徐々にできていった。
青学大・黒田朝日(3年)は、日本人最高記録と区間記録を上回る1時間05分44秒で区間3位。駒大・篠原倖太朗(4年)も、スタート前に設定したタイム(1時間06分30秒)を上回る1時間06分14秒の区間4位と好走したが、3年連続の2区となった國學院大・平林清澄(4年)が苦戦する。1時間06分38秒の区間8位。2区終了時で駒大は青学大と18秒差につけたが、國學院大は50秒差をつけられた。
3区は青学大・鶴川正也(4年)が1時間01分51秒の区間4位、駒大・谷中晴(1年)が1時間02分05秒の区間6位、國學院大・山本歩夢(4年)が1時間01分54秒の区間5位。3強内の順位は変わらず、タイム差もさほどつかなかった。
しかし、4区でレースが動いた。前回に3区を爆走した青学大・太田蒼生(4年)が、区間歴代2位&日本人最高の1時間00分24秒で区間賞。駒大・桑田駿介(1年)は1時間01分24秒の区間4位、國學院大・青木瑠郁(3年)も1時間01分09秒の区間2位と好走するも、"千両役者"の太田にリードを広げられた。
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