箱根駅伝3区で駒澤大・佐藤圭汰にあった不安要素 青学大・太田蒼生が見せたそれにつけ入る走り (2ページ目)
【布石となった青学大・黒田の快走】
その選択は、うまくいったかに見えた。
スタートから駿河台大のスティーブン・レマイヤン(1年)が飛び出す展開となる中、3km手前からは駒大・篠原と青学大・荒巻、國學院大・伊地知賢造(4年)がレマイヤンに追いつき、4人が先行する形に。14km付近からは青学大と國學院大が遅れ始め、15.2kmの蒲田付近では駒大と青学大で15秒差に開いた。
篠原は1時間01分02秒で2位の創価大・桑田大輔(4年)に23秒差をつけ区間賞を獲得。青学大と並び、「ストップ駒大」候補に挙げられていた中央大・溜池一太(2年)と国学院大・伊地知賢造(4年)は篠原から1分30秒以上遅れ、優勝争いでは厳しい状況に追い込まれたが、青学大の荒巻は終盤で粘りを見せ、区間9位で篠原との差を35秒にとどめた。「最低でも20秒差を目標にしていた」という荒巻だが、これまでの実績から見れば、その役割を果たしたと言える。チーム全体に前向きな姿勢をもたらすのに十分だった。
「あそこ(15.2km)からはもう行ききれなかったんですよね。最後ももっと行くかなと思ったけど上がりきらなくて、ラスト1kmですごい詰められた。それ以降、アドバンテージが取れそうで取れない形になってしまった」と藤田監督は振り返る。
それでも駒大の2区・鈴木も淡々とした走りで自分の力を出した。5km通過は14分07秒、10㎞通過は28分09秒と藤田監督が「想定どおり」という走り。トップを譲らず走り切った1時間06分20秒は、吉居大和(中大)が前回大会で区間賞を獲得した時のタイムを2秒上回る好タイムだった。
だが、青学大・黒田は、鈴木を上回る走りを見せていた。集団をうまく利用しながらスピードに乗り、7人抜き。ノビノビと走る姿が印象的だった。
「設定タイムは特に考えずに、66分台が出ればいいかなと思い、前半は余裕を持っていき、権太坂からペースを上げていくレースプランを考えていました」
あまりタイムにとらわれず、自分の走りに徹した結果、1時間06分07秒で区間賞を獲得。駒大との差を13秒詰めてみせた。
駒大にとっては何かしっくりこない展開ではあった。それでも駒大3区の佐藤の力を考えれば、青学大にとって大きな差にも見えた。この時点では......。
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