箱根駅伝で「過信してしまった」帝京大はまさかのシード落ち 中野孝行監督は「数字には表れないレースの難しさを感じた」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 日刊スポーツ/アフロ●写真

「大会前には選手たちは6位を狙うといっていたけど、私は良くて8位で最低でも10位狙いができればという思いでした。他大学の力量を見れば、8位というのも、どこかの大学が落ちてきた時で......。最近の駅伝はミスが少ない分、ひとつのミスのダメージが大きく影響することもあるからチャンスはあるかと考えていました。

 ただ、今回は9区の途中から3位から9位が混戦となり、どこの学校も3位を狙えたし、9位になる可能性もあるという状態でしたよね。何が正解なのかという難しさを、今まで以上に感じた駅伝でした」

 来年を考えれば、今回走れなかった選手を含め、箱根経験者が8人残る。中野監督は「それも頼もしいといえば頼もしいです。夏をとおしてどこまでたたき上げることができるかがすべてです」と、これからを語る。

「選手たちにとって今大会は、『土台をしっかり積み上げていかなければいけない』と感じた大会になったと思います。良くはなかったけれど、きっかけにはなったかなと。箱根が終わってから練習に関して、選手たちのほうから『このくらいの練習ペースにしませんか』と発信してきているので、工夫し始めたなというのも感じています」

 そして、「シード権を逃したことは悔しいが、それが学生たちの成長にもつながる」と続ける。

「まだ学生だから失敗をしてもいいと思うんです。失敗して後悔し、反省をするから強くなれる。今までうちは5年連続でシード権を取れていたから、彼らも失敗を知らなすぎたと思います。攻めてはいたけど、今まで失敗がなかった分これまでの練習に安心をしていました。その点は私も、『勇気を持って変えていれば違ったかもしれないな』と反省です......。新入生に対しても、これまでのようにじっくりやらせるだけではなく、状況を見て大胆なことをやらせることも、できるかなとも考えています」

 こう話す中野監督は超エースがいないチーム事情のなかで、箱根は1区から3区まででひと区間と考えていると言う。そこを10番前後でしのぎ、4区と5区にある程度強い選手を置いて順位を上げ、シード権を確実にするという戦略だ。今回4区に1年の柴戸遼太を起用したが、将来は主力になって欲しいとの思いからだ。

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