駒澤大一強なのか。全日本駅伝で見えた箱根駅伝の優勝候補校とダークホース校は?

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • 和田悟志●撮影photo by Wada Satoshi

中央大、東洋大も見逃せない存在

 全日本の走りで他校に警戒心を喚起させたのは、中央大と東洋大だろう。

 中央大は、出雲3位、全日本大学7位と安定した結果を出している。今回の全日本は、吉居大和(3年)のコンディションが整わず、出場回避の予定だった。だが、前日に調子が戻って急遽6区に入り、区間新の走りでエースとしての役割を果たした。「最初から投入できれば、違う区間で入れたかった」と藤原正和監督は語ったが、ここの区間で順位を上げたのが結果的にポイントになった。また、もうひとりのエース格である中野翔太(3年)も区間エントリ―から外れていたが、「走れない状況ではないが、箱根のために大事をとって」という監督の判断によるものだった。吉居の突然のエントリ―と中野のオーダー外の影響か、今回の全日本はやや順位がデコボコした駅伝になってしまった。それでも粘り強く戦い、シード権を確保したことはチームにとって大きな自信になったはずだ。

 また、出雲に出られず、記録会で頑張った湯浅仁(3年)と若林陽大(4年)がメンバー入りして、湯浅が7区10位、若林は5区6位とまずまずの走りを見せた。各区間での選手の走りや適性などを箱根の前に確認できたので、これからは箱根に向けて足りない部分を調整していくことになる。箱根で整った駅伝を見せられれば、おもしろい存在になりそうだ。

 東洋大は、出雲9位、全日本8位とチームとしてはやや低調な状態が続いている。出雲は1区13位、全日本1区14位とスタートで大幅に遅れた。昨年、スーパールーキーとして出雲5区区間賞で華々しいデビューをした石田洸介(2年)は、今回の全日本で2区9位にまで盛り返した。だが、チームを立て直すところまでは至らず、中盤以降になんとか帳尻合わせをした感じだ。レース後、酒井俊幸監督は、「選手はよくやったと思いますし、手堅く襷をつなぐことができました。ただ、タイムを大きく稼げる選手がいません」と今のチーム状態について語った。エースの松山和希(3年)を欠き、軸が定まらないので水が漏れてしまうような駅伝になっている感じだ。

 ただ、東洋大は箱根の戦いを熟知している。2020年の箱根では10位と思うような結果を残せなかった。復活を賭けた翌シーズンで、全日本は6位と優勝した青学大に2分近くの差をつけられて敗れた。それでも2021年の箱根では往路2位、復路9位で総合3位に復活した。この時の往路メンバーには現主将の前田義弘(4年)、児玉悠輔(4年)らがいる。来年の箱根の目標は「3位以内が妥当」と酒井監督は語るが、駒澤大、青学大と争うのが東洋大のあるべき姿である。どこまでチームを建て直して箱根に臨めるか。改めて酒井監督の手腕が問われることになるだろう。

 他に創価大など注目すべきチームはある。

 ただ、箱根前哨戦といわれる全日本大学駅伝で圧倒的な強さを見せた駒澤大の優位性は、次の箱根でも変わらないだろう。箱根は別モノ、魔物が出ると言われるが、今年に限っていえば、駒澤大が強すぎて、その要素は限りなく低い気配だ。

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