女子100mの星・青山華依が明かす、陸上にハマったきっかけ。「団体競技は苦手でした」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 弓庭保夫●撮影 photo by Yuba Yasuo

海外選手のおしゃれなスタイルに憧れる

 高校で結果を出し、勧誘されることも多かったなかでの甲南大進学。青山はその進路もしっかり考えて選んだ。

「関西から全国に出て行きたいというのと、女子の場合はひとり暮らしになると栄養面などで失敗して不調になることもあるから地元から離れないほうがいいとも聞いていたので、それを一番に考えました。だから最初は関西内で候補を数校選び、知り合いの大学の陸上の先生にも相談したけど、『伊東先生なら信用して行ってもいいと思う』と言われたので甲南大を選びました。だから最初は伊東先生に教えてもらうというより、『関西で家から通える』というのが一番重要でしたが、伊東先生は高校の先生とも色々お話をして練習メニューも決めてくれているので、すごくのびのびとできています」

 そんな青山に憧れている選手が誰かと聞くと、ずっと関西を拠点に活動し、09年世界選手権リレーの代表になり、17回出場した日本選手権では100m、200mの決勝の常連で昨季引退した和田麻希(ミズノ)の名前を挙げる。

「ずっと関西でやっていて強かったのもそうですが、大会ごとに髪型を変えているのを見て『めっちゃカッコいいな』と思ったんです。そういう姿で見ている人にも自分を印象づけて覚えてもらい、応援してもらえるようになればいいなと思うので、私もそれをやりたいなと思って。それに海外の選手はもっとおしゃれをしていて、この間のゴールデングランプリでもすごい長い爪で蛍光カラーのネイルをしている人がいたので『可愛い!』と思ったし。東京五輪でも髪の毛の色々なスタイルや色を見てすごいなと思いました。髪の毛をミニーマウスのようにしていた人もいたけど、本当に可愛かったですね。

自慢のネイルを見せてくれた自慢のネイルを見せてくれたこの記事に関連する写真を見る でもそんなチャラチャラした格好をしていても遅かったら、『髪の毛を染める前に速くなれ』ってコメントされるだろうから、強くなって海外の選手のようにいっぱいできたらいいなと思って。ただ走っているだけだと気持ちがきつくなる時もあると思うので、自分も楽しくやりたいし、見てくれる人たちにも『今日はどんな髪型かな』などと、楽しく陸上を見てもらえたらいいな、と思っているんです」

 海外のトップ選手のインスタグラムもフォローして、どんなおしゃれをしているかもチェックしていると楽しそうに話す青山。「私も両側をお団子にするヘアスタイルをしたいんですけど、髪の毛はショートのほうが似合うとも言われているのでちょっと悩んでいるんです」と笑顔で言う。

 競技を追求したいという思いを持ちながらも、普通の女の子のようなあっけらかんとした性格も併せ持つ青山。伊東コーチは「頭の回転はよくて何が必要かもわかっているので、陸上脳のほうが先行している選手かもしれないし、運もたぐり寄せるタイプですね。女子は大学1~2年で失敗する子が多いので、今は彼女の気持ちを優先して練習メニューを組み、本当にのびのびとやらせています。彼女の場合は自分たちの現役時代のように競技に集中しすぎると気持ちは持たないと思うので、今のおおらかな感じのままで伸ばしてあげたいと思います」と話す。

 陸上競技をさまざまな方向から思いきり楽しみながら、なおかつ、力も伸ばしていく選手。19歳の青山は今、そんな陸上選手像を目指している。 

PROFILE
青山華依(あおやま・はなえ) 
2002年8月26日生まれ、大阪府出身。甲南大学2年生。小学5年の時に陸上選手だった両親の影響で陸上を始める。大阪高校の2年生だった19年6月に、日本選手権女子100mで3位になり注目を集める。21年の東京五輪・女子4×100mリレーの日本代表として第1走者で出場し、日本歴代2位の43秒44をマーク。100mの自己ベストは11秒47(22年4月日本学生陸上競技個人選手権)、200mは23秒60(22年5月静岡国際陸上競技大会)、60mは7秒36(22年3月日本陸上競技選手権大会・室内競技)。身長167cm。

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