2021.08.08

男子4×100mリレー、「ポジティブに捉えた」9レーンでの失敗。どんなリスクがあったのか

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AJPS

 2016年リオデジャネイロ五輪で銀メダルを獲得した陸上男子4×100mリレーが、まさかの結果に終わった。

 決勝はカーブが緩やかな9レーンの有利さを最大限生かし、鋭いスタートダッシュで飛び出したのは多田修平(住友電工)。スピードに乗って2走の山縣亮太(セイコー)にバトンを渡そうと腕を伸ばしたが、山縣の加速に多田が追いつけず、バトンを渡せないままテイクオーバーゾーンの外へ。途中棄権となり、最後まで走り切ることすらできないという衝撃的な終わり方だった。

スピードを出しすぎたが故のバトンミスが出てしまったスピードを出しすぎたが故のバトンミスが出てしまった  4×100mリレーは自国開催の東京五輪で「金メダル」を目標に掲げていた。

 しかし、個人種目の100mで山縣、多田、小池祐貴(住友電工)の3人が予選落ち。さらに200mでも、リレーメンバー入りする可能性があったサニブラウン・ハキーム(タンブルウィードTC)も予選落ちと、起用できる可能性は低くなり、不安を残したままリレーに臨まなければならなかった。

 5日の予選では、大会前の代表合宿最終日に決めたという、多田―山縣―桐生―小池のオーダー。走ったのはカーブがきつい4レーン。1走の多田はリードを奪えない窮屈な走りで、山縣も終盤はインレーンのイギリスに大きく差を詰められた。それを桐生祥秀(日本生命)が盛り返し、最後の小池が粘って3位。着順で決勝進出を決めたが、タイムは38秒16と決勝進出中、最も遅いタイムだった。

 それでも選手たちの表情に曇りはなかった。桐生は「今回は安全バトンですから。最近の僕たちの強みは、予選は安全に行って決勝でタイムを上げるというのがいつもできています」と自信すら見えていた。

 山縣もリレーにかける思いをこう話した。

「決勝に進むというのが一番重要。個人の結果は悪かったですが、リレーは何とかしようという気持ちがあったので次につながった。バトンも個人の走りも改善できるので、それをこれから話し合いたいと思います」

 その思いは土江寛裕オリンピック強化コーチも同じだった。

「予選は危ないレースでしたが、結果的に決勝で、勝負がしやすい9レーンを獲得できたことをポジティブに捉えました」