東海大が箱根連覇を逃した理由。想定外の往路タイム差と爆発力不足に泣く (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kyodo News

 それでもあきらめずに逆転の可能性を信じ続け、復路優勝を果たして青学大の完全優勝を阻んだ走りは、次につながるに違いない。

 来年の箱根駅伝に向けて、新しいチームづくりは急務になる。駅伝の高速化は昨年の初優勝の時から見えていたが、今回は青学大が大会新記録となる10時間45分23秒というタイムで総合優勝し、超高速化の波は避けられなくなっている。両角監督もその現実をしっかり見据えてチームづくりをしていくと語る。

「高速化の流れは駅伝に限らず、マラソンでもエリウド・キプチョゲ選手(ケニア)が2時間を切るとか世界的な流れになっていて、これからますます拍車がかかってくる。そこから学んで、駅伝に落とし込んでいく必要があります」

 また東海大に関しては、今回の箱根で6区間を黄金世代と呼ばれる4年生が担ったように、主力が一気に抜ける。今回の箱根を走った塩澤稀夕、名取、西田の3年生が新チームの主軸になるが、新戦力の台頭などチームの底上げは欠かせない。

「黄金世代が卒業しますが、彼らが今の3年生を引き上げてくれた。その3年生を軸にチームをつくっていく。4年生の陰に隠れてチャンスのなかった選手もいたので、そういう選手たちの台頭に期待したいですね。やっぱり負けたことは悔しいので、すぐに取り組まないといけないこともあるし、少し休んでリセットして作戦を練りたい」

 チームは7日の夕方から新体制でスタートするという。勝ち続けることは難しい。だが、負けを知ることで強くなることもできる。今年の青学大はまさにそうだった。

 来年、東海大は"チャレンジャー"として箱根に戻ってくる。黄金世代は抜けるが、新たな強いチームをつくって王者・青学大に挑む覚悟だ。

  『箱根奪取 東海大・スピード世代 結実のとき』

【発売日】2019年10月4日

【発行】集英社

【定価】1,300円(本体)+税

【内容】2019年1月3日──。 往路2位から復路8区の大逆転劇で みごと箱根駅伝初優勝を飾った東海大学。 その“栄光”にいたる道程にあった苦難や葛藤、 当日のレース模様などを 監督、コーチ、選手たちの証言を交えて 鮮やかに描き出す。

そして、「黄金世代」と呼ばれて輝きを放ってきた 現4年生たちが迎える学生最後のシーズン。彼らはどのような決意で箱根連覇に挑むのか。 出雲・全日本も含む3冠獲得を目指し、東海大学の「黄金世代」が駅伝シーズンに向け、再び走り出す 。

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