三大駅伝で優勝を狙う東洋大。酒井監督の「強制なし」マネジメント術 (2ページ目)

  • 佐藤主祥●取材・文 text by Sato Kazuyoshi
  • photo by Nikkan Sports/AFLO

――ただ、チームの主力だった山本選手が卒業するなど、3年連続で往路を勝つためのチーム力の底上げが大きな課題だったのではないでしょうか?

「そこは確かに課題でしたが、5月の関東インカレを境に一気に選手層に厚みが出てきましたね。というのも、関東インカレ前に箱根を走ったメンバーの故障が相次いだこともあり、2年生の宮下隼人、蝦夷森(えぞもり)章太を初めて起用したんです。すると、宮下はハーフマラソンで日本人トップの2位で、蝦夷森も4位。加えて定方駿(さだかた・しゅん/4年)も6位に入り、出場した全選手が入賞することができた。彼らはこれまで三大駅伝とインカレには出たことがなく、チームとしても新戦力の台頭を待ち望んでいましたから、本当に大きな結果となりましたね」

――そこにエースで主将である相澤選手がいい状態で加われば、かなり期待値の高いチームに仕上がりそうですね。

「そう思います。相澤は本当に"学生長距離界のエース"らしくなってきました。振り返ると、昨年の出雲駅伝では惜しくも区間賞を逃しましたが、全日本大学駅伝はアンカーで区間賞を取ってリベンジを果たし、箱根では区間新記録を達成。今年の全国都道府県対抗男子駅伝(1月)でも実業団選手に勝って区間賞を取り、日本学生ハーフマラソン(3月)も優勝、ユニバーシアード(7月)でもハーフマラソンで金メダルを獲得しています。

 彼の実力を考えれば、もう学生の中のトップを狙うのではなく、東洋大の先輩でもある設楽悠太(ホンダ)や服部勇馬(トヨタ自動車)ぐらいのレベルを目指して、五輪でメダルを獲得できる選手になってほしい。相澤は実際に1万mで東京五輪を目指していますし、その延長線上で2024年パリ五輪のマラソンで勝負するという目標がある。ただ、1万mを27分30秒ぐらいで走れる走力がないと、マラソンでトップ争いができる2時間5分台は出せません。だから今は、トラックでスピードを磨いている最中なんです」

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