三大駅伝で優勝を狙う東洋大。酒井監督の「強制なし」マネジメント術 (4ページ目)

  • 佐藤主祥●取材・文 text by Sato Kazuyoshi
  • photo by Nikkan Sports/AFLO

――水分補給に関しては、合宿ではスポーツドリンクではなく、ミネラル入りの麦茶を多く取り入れたということですが、どういった理由からですか。

「スポーツドリンクは、飲みすぎると選手たちのウエイトの問題があり、エナジードリンクではカフェインを摂り過ぎてしまう。そこで昨年からは、主に無糖のドリンクで麦茶を導入しています。水を飲む機会が少なくて脱水症状を起こす選手がけっこう多いんですよ。ですが、麦茶ならミネラルも補給できるし、副交感神経にもいいので血流がよくなると言われています。

 あとは単純に、麦茶を飲むとホッとするじゃないですか(笑)。体調管理をするための"コンディショニング飲料"という位置づけで、選手たちに推奨しているというのもありますね」

――10月から駅伝シーズンに突入しますが、ライバルである青学大と東海大のチームとしての印象はいかがですか?

「青学大は今年、久しぶりに(箱根駅伝で)優勝できなかったところから始まったシーズンなので、全力で箱根を取りにきている感じが伝わってきます。前半のトラックのシーズンは選手を出さず、大人しい印象でしたから。それほど駅伝シーズンにかけているんだと思います。

 東海大は4年生のパフォーマンスが非常に高い。ユニバーシアードで館澤亨次くん(4年)と阪口竜平くん(4年)の走りを見ましたが、あらためて能力が本当に高いなと感じました。ケガなくベストメンバーが揃い、最高のコンディションで臨んできたら、どの大会でも頭ひとつ抜けるかなと思います。

 あとは帝京大学や法政大、国学院大もかなり勢いがありますし、駒沢大学にもいいルーキーが加わったので、だいぶ混戦になるのではないでしょうか」

――最後に、三大駅伝に向けて、東洋大の意気込みをお聞かせください。

「それぞれの大会で優勝を狙っていきたいです。明確に『三冠』という表現ではなく、その時のチーム状態を見て、選手を組み替えながら、その中で上を目指していこうという考えですね。でもやるからには、どの大会でも頂点を狙えるような戦術で臨みたいと思っています」

  『箱根奪取 東海大・スピード世代 結実のとき』

【発売日】2019年10月4日

【発行】集英社

【定価】1,300円(本体)+税

【内容】2019年1月3日──。 往路2位から復路8区の大逆転劇で みごと箱根駅伝初優勝を飾った東海大学。 その“栄光”にいたる道程にあった苦難や葛藤、 当日のレース模様などを 監督、コーチ、選手たちの証言を交えて 鮮やかに描き出す。

そして、「黄金世代」と呼ばれて輝きを放ってきた 現4年生たちが迎える学生最後のシーズン。彼らはどのような決意で箱根連覇に挑むのか。 出雲・全日本も含む3冠獲得を目指し、東海大学の「黄金世代」が駅伝シーズンに向け、再び走り出す 。

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