男子100m、準決勝で3人敗退も強気発言が出るほど収穫はあった (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 今回のレース結果から、東京五輪に向けてはこう語った。

「中盤の加速区間をもう5mくらい伸ばせるようにすれば、着順での決勝進出も可能になると思いました。これは強がりかもしれないけど、世界のファイナルへいくというのが今回は全然遠く感じませんでした。そこはもっと自分に自信を持って、来年の東京五輪に臨めるのかなと思います」

 10秒01を出して以来、9秒台を期待され続けるプレッシャーの中で、桐生は自分でもタイムを求める気持ちが強くなっていたのかもしれない。だが、今シーズンの桐生は勝負の意識の方が強くなってきていた。この世界選手権でも戦う意識を前面に押し出せてしっかり走れたことは、スプリンターとして次の段階へ踏み出せたといってもいいだろう。

 3人とも準決勝で敗退してしまったが、それぞれが自分の走りを分析し、うちふたりは収穫もあった。あとは、この3人がエントリーしている10月4日の4×100mリレーで、日本が得意とするバトンパスを最大限生かし、金メダルを獲得することで、自信を手にできるだろう。

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