2019.10.01

男子100m、準決勝で3人敗退も
強気発言が出るほど収穫はあった

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 日本勢3人が進出した、9月28日の世界陸上選手権男子100m準決勝。全員、調子が悪くなかっただけに、悔しさが残る結果になった。

 最初の第1組で走ったのは、サニブラウン・ハキーム(フロリダ大)。前日の予選は「世界選手権なのに普通の大会みたいで、何も感じなくなってきているのが怖いですね。とりあえず、決勝にいけば緊張すると思いますが……」と、リラックスした姿勢で臨み、組3着で全体の8番目となる10秒09で通過。決勝進出のために必要になるであろう10秒0台もあっさりとクリアした。

予選は安定した走りで危なげなく準決勝へコマを進めたサニブラウン・ハキーム(中央)「予選だから適当に走ったわけではないですが、通過することが前提なので。本当に調子はいいので準決勝で調子を上げて、決勝でもいい走りができたらいいなと思います」

 予選から準決勝、決勝と徐々に気合を入れていく中できっちりと走る、トップ選手の雰囲気さえ醸し出していた。

 だが、準決勝では他の選手よりもリアクションタイムが0秒05ほど遅くなり、スタートに失敗してしまった。序盤の大きな出遅れを中盤から取り戻し始めたものの、追い込め切れず、着順で決勝に進める2位には0秒03届かず、5位という結果だった。

「スタートは全然ピストルの音が聞こえなくて、『鳴ったのかな?』と考えるくらいでした。『セット』までは普通に聞こえたけど、そこから小声でささやかれているみたいに『パン』と聞こえたので、『アレッ?』と思って。横の選手が動いたから自分も動いた感じでした。そこで遅れを取ったので、後半もちょっと差をつけられたのかなという感じです。走り終わった瞬間は『何だこりゃ?』という感じでした」

 ただ、予選と準決勝の2レースで収穫もあった。

「最近はスタートしてから横に足を踏み出してしまうことがあったので、コーチからはしっかり直線上に出してすぐには顔を上げず、一歩一歩をしっかり踏んで、肩から加速し続けられるようにしろと言われていました。今回はそれが少しできたことで中盤から後半はいい走りだったと思う。その点で、こういう大きな舞台でも最初の部分をしっかり組み立てられれば、戦えるレベルになってきていると思えました」