3000mSCで惨敗も阪口竜平は超ポジティブ!「僕には可能性がある」 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Nakamura Hiroyuki

 4月の兵庫リレーカーニバルで勝った時は、まず先頭に出て、途中で足を使わないように体力をキープし、最後のスパートで持ち前のスピードを生かして優勝した。前から積極的にいくのが阪口の勝ちパターンだ。

「先頭のほうでレースできると『調子いいな』と思えるし、いいタイムが出やすい傾向にあるんです。でも、3月のスタンフォードでのレースは一番うしろから出て、8分44秒ぐらいかかった。うしろからのレースはヘタだなって思いましたね(苦笑)」

 思い切って前にいけず、腕がぶつかり合うなかで戦えなかった。それは、基本的な走力が足りないこともあるが、体の大きい外国人選手と競り合うことに慣れていなかったり、水郷への恐怖感がまだ拭いきれていないことも大きな要因となった。

 昨年7月のレースで水郷での着地に失敗し、くるぶしの骨 が割れ、3カ月もの長期離脱を余儀なくされた。それがトラウマになっているせいか、今回も水郷を飛ぶ際は少し窮屈そうに飛んでおり、着地してから勢いよくスピードに乗れている感じがしなかった。

「今回も全体的に一歩前に足が出なくて......。本来であれば勢いよく水郷を飛べればいいんですけど、失速して飛んでいました。まだ怖さもあるので、修正していきたいんですが、普通の練習では水郷がないので、いつもぶっつけ本番になってしまうんです。勝てないのは走力の問題もあるんですが、水郷については練習できるところを監督と相談したいと思っています」

 レースは1000m、2000mと進むたびに、阪口とトップ集団の差は開いていった。

 結局、阪口は後方ポジションのまま勝負できずに走り終えた。フィニッシュするとトラックに両ひざをついて伏し、しばらく顔を上げることができなかった。それほど苦しいレースだったのだろう。タイムは8分56秒65の14位。自己ベストから20秒近く遅かった。

 レースを見終えた東海大の両角速(もろずみ・はやし)監督は、次のように語った。

「気負ったかなぁ。でも、追い込み不足もありますね。体が動かないって感じでしたから。目標にしていた大会だっただけに、ちょっともったいなかった。日本選手権に向けてつくり直しですね」

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