すべては打倒・青学大のため。
東海大が刷新した本番までのアプローチ
東海大・駅伝戦記 第38回
東海大学陸上部は、両角速(もろずみ・はやし)監督と西出仁明(のりあき)コーチがタッグを組んでチームを運営している。西出コーチは、2014年に両角監督からコーチ打診を受け、福井県立美方高校から東海大に移った。現在は体育学部准教授として、主に高地トレーニングとフィジカルトレーニングの研究をしながら選手の指導に当たっている。
二人三脚で箱根駅伝制覇を狙う東海大は、今シーズンこれまでとは異なる調整を続けている。前回の箱根駅伝では、距離に対して不安があったため、本番3~4週間前に追い込む練習をしていた。
そのポイント練習の際、状態を上げることを優先すべきと考える西出コーチと、ひとつひとつの練習が選考になると考える両角監督との間に意見の相違があった。「どっちにするのか......」という選手の声も漏れたが、結局、練習の疲れが抜けきらないまま本番に突入してしまった。その結果、総合成績は5位だったが、往路は9位に沈むなど、ふたりが思い描いた駅伝ができなかった。その反省から今回は多くのことにメスを入れた。その内容について、西出コーチに話を聞いた。
箱根駅伝まであと少し。ここまで順調に来ていると語る東海大・西出仁明コーチ―― 今年、調整のやり方を変えるきっかけになったのは何だったのでしょうか。
「出雲駅伝の前、ウチとしては全日本駅伝に勝ちたかったので、かなり追い込んだ練習をしていたんです。ある意味『出雲を捨て試合にして......』という意識だったのですが、選手はレースに勝ちたいので『なんで、こんなにきつい練習をレース前にしないといけないのか』という声が出てきたんです。僕自身はコンディションが上がると読んでいたのですが、選手の不満が出たままだとチームは乗っていかない。それで全日本が終わったあと、箱根駅伝に勝つにはどうしたらいいのかということを選手とあらためて話しました」
―― 選手からはどういう要望があったのでしょうか。
「ジョグを任せてほしいとか、結構細かい要望が出ましたね。それからは、選手が『今日はこうしたい』という要望は基本的に受け入れる感じになりました」
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