女子短距離界に新星現わる。期待の高校生「変化」に気づき、急成長 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 同じ年にハイテクACジュニアに入った仲間には、現在でもチームメイトの町井愛海(あみ)がいる。彼女は小学6年の全国小学生交流大会100mで優勝。全日本中学も100mは2年で優勝し、3年では走り幅跳びで優勝という実績を持っている選手だ。

「町井愛海ちゃんは同い年だけど、ずっとすごいなと思って憧れていたので、同じところで練習できるのはうれしかったです。中学でもずっと順位は向こうの方が上で、自分は1位になれなかったけれど、ずっとその背中を追っているような感じでした。その中でも少しずつ記録が伸びてきて、それが楽しくて陸上をやっていた感じです」

 通っていた中学には陸上部がなく、練習は北海道ハイテクACに来てやるだけだった。土日は3時間練習できるが、平日の練習量は、2~3日だけ5時間授業の時で2時間弱、6時間授業の時は1時間ほどと少なかった。

 恵庭北高校に進んで練習時間は増えたものの、1年の時はインターハイも町井や先輩が100mに出場したため空きがなく、走り幅跳びと4×100mリレーに出場。全国で走り幅跳びは11位だったが、町井や3年生ふたりと組んだリレーでは、決勝でU18日本記録の45秒94を出して3位になった。

「御家瀬は、スタートはそれほどでもないですが、中盤からグングン行くタイプで、後半の加速力には目を見張るものがありますね。高校1年の時はそこまで力はなかったので個人は走り幅跳びだけで、リレーはずっと2走をやらせて、札幌支部大会からインターハイ100mで2位になった臼井文音(あやね/立命館慶祥)などと一緒に走るうちに力がついたという感じですね」と中村監督は話す。

 昨年7月の南部記念では、追い風2.7mで11秒70を出したが、それまでの自己記録は中学時代の12秒18。そのときは「たまたまいい風が吹いていたからだ」と思うくらいで、信じられないだけだった。インターハイのリレーで3位になった時も、必死すぎで自分では何もわからず、「ちょっとずつ気合いが入ってくるので、少しタイムも上がっているのかな」と思うだけだった。

3 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る